ちぅちゃん(タッキー)

ひょんなことから参加した「てのひら小説講座」 周りの人たちからエネルギーをもらいながら…

ちぅちゃん(タッキー)

ひょんなことから参加した「てのひら小説講座」 周りの人たちからエネルギーをもらいながら文章を書き発表することに挑戦。

マガジン

  • PJ Novelフリー投稿マガジン

    • 93本

    PJ Novelとは「小説」を 軸に活動する “クリエイターズ コミュニティーです。 このマガジンにはメンバーの自由投稿作品を集めています。

  • てのひら小説作品集

    • 214本

    愛媛の作家によるてのひらサイズの短い小説。 500文字以下の小物に印刷したら映えるサイズ。 それが「てのひら小説」です。 1000文字超えてても2000文字以上でも「いや、これが私のてのひらサイズなんじゃい」と言い張る気持ちがあればそれでOK。 広がれてのひら小説の輪。

  • IYO夢みらい館てのひら小説講座専用マガジン

    • 125本

    2020年からIYO夢みらい館で開催している「てのひら小説講座」受講生作品のマガジンです。

記事一覧

プロポーズ 〜バラの花言葉にのせて〜

私が10才のクリスマスイブ、お隣のお兄さんが抱えるほどのバラの花束を持って颯爽と出かけていくのを見た。年が明けて、かわいらしい女の人がお隣へ引越してきた。 今日は…

ごちそうさま

私は長く生き過ぎた。病院のベッドの上で自分の意志では指先一つ動かすこともできないで横たわっていた。看護婦が体をふきながら聞いてきた。 「今日は何が食べたいですか…

逡巡

 母親の腕の中ですやすやと安心しきった寝息を立てている赤ん坊の顔を覗き込んだ。空腹も満たされているのだろう少々のことでは目を覚ましそうにない。なかなか手を出せな…

プロローグ

「これ使って」 水色のリボンのついた小さな白い箱を渡してきた彼。誕生日でもクリスマスでもない6月の木曜日に・・・プレゼント?  彼は、バイト先の喫茶店の常連客のひ…

リアライズ 女

 女は自分の心をテニスボールほどの丸い球にして持ち歩いていた。ピンクやブルー、紫や黄色、他にも色とりどりの球を持ち歩いていて、出会う人に合わせて見せる球を使い分…

たわいない話

私のたわいない話を少し聞いてもらってもいいかしら。 私達夫婦は金婚式もとうの昔に終えて、来月はダイヤモンド婚でしたか、迎えますのよ。私達はいつもふたり一緒に行動…

プロポーズ 〜バラの花言葉にのせて〜

プロポーズ 〜バラの花言葉にのせて〜

私が10才のクリスマスイブ、お隣のお兄さんが抱えるほどのバラの花束を持って颯爽と出かけていくのを見た。年が明けて、かわいらしい女の人がお隣へ引越してきた。
今日は私の28歳の誕生日。交際3年目の同い年の雅史と人気のレストランで食事。次々と運ばれてくる料理はとてもおいしくて、素敵な誕生日気分に満たされていたとき、デザートと一緒に抱えるほどのバラの花束が運ばれてきた。
雅史はその花束を私に差し出して「

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ごちそうさま

ごちそうさま

私は長く生き過ぎた。病院のベッドの上で自分の意志では指先一つ動かすこともできないで横たわっていた。看護婦が体をふきながら聞いてきた。
「今日は何が食べたいですか?」
 人間、体は衰えても食欲というものは衰えないものだ。
「そうねぇ、豪勢にフランス料理のフルコースといこうかしら・・・久しぶりにワインも頂くわ。デザートは私の大好きなプリンにしてね」
 看護婦は点滴の針を刺しながら言った。
「ゆっくり味

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逡巡

逡巡

 母親の腕の中ですやすやと安心しきった寝息を立てている赤ん坊の顔を覗き込んだ。空腹も満たされているのだろう少々のことでは目を覚ましそうにない。なかなか手を出せないで、じっと見ているだけの私に、母親である彼女は赤ん坊を差し出した。
私自身、赤ん坊を抱くのは初めてではない。赤ん坊が目を覚まして泣き出したとしてもあやす自信もある。では、何を躊躇して手が出せないでいるのだろうか。赤ん坊の顔があまりにも無垢

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プロローグ

プロローグ

「これ使って」
水色のリボンのついた小さな白い箱を渡してきた彼。誕生日でもクリスマスでもない6月の木曜日に・・・プレゼント?
 彼は、バイト先の喫茶店の常連客のひとりで、
「いらっしゃいませ」
「いつものホットで」
「ありがとうございました」
それ以外の会話をした覚えがない。
 私は、貧乏大学生で生活費を稼ぐために夜の喫茶店でバイトしていた。化粧気も全くなく、ファッションも、興味がないわけではない

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リアライズ 女

リアライズ 女

 女は自分の心をテニスボールほどの丸い球にして持ち歩いていた。ピンクやブルー、紫や黄色、他にも色とりどりの球を持ち歩いていて、出会う人に合わせて見せる球を使い分けていた。
 ある日、男が言い寄ってきた。女は、男が喜びそうな球を探して出して見せた。すると男は、球をチラリと見ただけで遠くへ投げて捨ててしまった。次に女は、男の嫌がりそうな球を渡した。男は受け取ると、ニヤリと笑って握りつぶした。女は次々と

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たわいない話

たわいない話

私のたわいない話を少し聞いてもらってもいいかしら。
私達夫婦は金婚式もとうの昔に終えて、来月はダイヤモンド婚でしたか、迎えますのよ。私達はいつもふたり一緒に行動しておりました。夫は日本そばが好きで日本中のお蕎麦屋さんを巡ったり、クラシックコンサートや恋愛映画を見に連れていってくれたり、テニスや登山も一緒にしましたよ。周りの皆様から評判のおしどり夫婦と呼ばれておりました。長男・次男夫婦も「父さん母さ

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