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プロポーズ 〜バラの花言葉にのせて〜

私が10才のクリスマスイブ、お隣のお兄さんが抱えるほどのバラの花束を持って颯爽と出かけていくのを見た。年が明けて、かわいらしい女の人がお隣へ引越してきた。
今日は私の28歳の誕生日。交際3年目の同い年の雅史と人気のレストランで食事。次々と運ばれてくる料理はとてもおいしくて、素敵な誕生日気分に満たされていたとき、デザートと一緒に抱えるほどのバラの花束が運ばれてきた。
雅史はその花束を私に差し出して「僕が10才のクリスマスイブに、同居していた従姉のお姉さんが抱えるほどのバラの花束を持って帰ってきたんだ。プロポーズされたって嬉しそうに」「え?その従姉のお姉さんって」私が口を挟む間もなく、雅史は続けた。「その姿を見て、僕もプロポーズするときはバラの花束を贈ろうと決めていたんだ。そして、花屋の言うことには、花束の本数には意味があって、108本が『結婚してください』って意味なんだって。知ってた?」

「知ってるよ」
私は、返事の代わりに1本のバラを抜いて雅史に渡した。
『あなたしかいない』

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