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1977年、全世界の若者を熱狂の渦に巻き込むパンクロックが吹き荒れる前の1972年~75年。日本列島にパワーロックという幻のムーブメントが存在していたことは、実はあまり知られていない


ランコ:あたいたちが、一番、チビスケでさ、ただのそこらのジャリだったわさ、でも、純也のスケのサキなんかよりよっぽど、シャッポイことやってたよ、羅捨のトンガリはあたいたちのオハコだったからね?

キング:お~これもんのよぉ、でっけぇ鳴り物でよぉ、街をぶっかまそうぜ、ってのかはじまりでよぉ、マッポのおとがめとかよぉ、ジグソーパズルのやつらとかの乱入とかよぉ、まるで百姓はお呼びじゃないって感じでよぉ、痛めつけてやったりよぉ、いろいろあったわな

ニッキ:かますじゃんよ?したっけガキどもがかっ飛ぶわけ。で、百姓のなりしてっとあたりは血の海よ、ゲームのはじまりよ

クルス:ヘボスケの音だったよ、やっぱ、最初はよぉ、ピラチンのジャリの限界だわな、で、ショッポみてぇだなって、当時のナオンのユミがよくかましてきたわ、だから、トサカにきて、ビクティムで練習しっぱなし、田植えもガッコもマッポもし・か・と♪ 

セクター:ぶっとんだり、ケツまくって、最高~ってのは、ニッキのバンド
その名も「羅捨」。今でもピッカピカにカッケェ、。ミスチルだぁ?スピッツだぁ?ケッ!百姓だぜ、そんなの、ニルバーナありゃあ良かったけどよ。シンナーロックしてたよやつらは。あいつらも、稲刈り終わって休閑期にロックかましてたんだろ?

ニイカ:ドペのシャレコウベにいたことあっけど、練習よかシンナー、鳴り物は引き万のお縄ちょうだい系でよぉ、ピラチンのバンドの宿命だわな、シャバにはそっから4年はゴブサタよ

ランコ:あたいたちの周りのショボスケたちががバケツひっくり返したみたいな、騒ぎはじめてさ、しめしつかねぇからカツ入れてやって、おとなしくさせたよ、だってダッセェじゃんよ。だから今でも幻なんだよね、でも毎年、墓参りは行ってるよ、あたいら現役だしさ、ふ、

るり:ヘタこいて、族のアタマになっちまったヤツもいっけどよ、ワルはみんな当時、バー「騒乱」、にいたよ、ヨーコ?知らねぇーな、お前さん、マッポの手先じゃねぇだろうな、クリームレモンノリアキってトッポイやつに聞いてみな。ガイコツみてぇな顔してっからわかんよ、あん?てめぇ、やっぱマッポの手先だろう!おぅ!




――カメラ割られ、インタビュー中断――





ホテト:どいつもこいつも、テレビに出てる、拓郎だとか神田川だとか、精霊流しだとかさ、貧乏くさくて辛気くさくってよ、シンナーに合わねぇんだよ。だから拓郎の「夕陽の街」(注:調べましたがそんな曲はありませんでした)をドラムつけて、ハーシュノイズギターで3倍速で演奏したじゃんよ。もう、大ウケ。そっから、誰が言ったか知らねぇけどパワーロックって、かっ飛んだやつらのロックのこと、そういうわけ

ジャンキ:まぁ、そういうこった、血の気の多い連中がはじめた、それがパワーロックだからよ。音源なんて作りもしねえし、最初はレコード会社のやつらが来たけど初日で気にくわねぇっつってリンチしちまって,,島井県の一地方の話よ…そんで40年ずっとこんな感じ。演奏より喧嘩とシンナーで俺もこのざま(と言って歯を見せた、ほとんど溶けて歯茎しかなかった)…あとからでてきたパンクってやつらより酷かったよ、正直。みなまだ現役だしな、昨日も喧嘩してオノ持って追いかけまわされたよ。パンクにシドってヤツいんだろ、俺たちは全員シドみたいなもんだったから。これは嘘じゃねぇよ。はじめは良かったよ。気に食わなきゃ鳴り物で客ぶんなぐるとかさ、客も拍手かっさい、若者特有の破滅願望ってのでさ。湧いたね。

でも、最初の2~3年だけ。演奏はいつもぐちゃぐちゃ、そんなの見に行くかい、見に行きたいかいあんた?…俺ももう65だよ?シンナーもやめらんねぇし、、喧嘩もずっと。。。

正直、疲れてきてるよ、昨日も2、3人の客っつっても知り合いだけどさ、るりが殴る蹴る、なんなんだろうって思わない?シンナーだって、誰かがもうやめねぇか?って言ってくんねぇかなってずっと願ってたよ。もう、遅ぇか…



追記:パワーロック…当時のパワーロックの音像(音源は残されていない為、関係者の供述から)を現代的に形容できる音楽ジャンルはなく、強いて言うならば「河原で石拾いしていて、おもむろに石をめくったら石の裏に無数の図鑑には載っていないマイナーな虫がへばりつき、うごめいているのを見てしまったときの背徳感、罪悪感、劣情が交互に襲ってくる、かきむしられる、心がざわざわする、そんなサウンド」だったそうである。現在の彼らの音は、何度かの淘汰、変革を経て、EDM、正確には、EDMを煮っころがして、4~5日天日干しして、いったんはミュートし、そこからお経に合わせてポエトリーリーディングを痙攣的に絶叫するような、そんな音?になっている、いったんミュートされているとはいえ、現在最先端の音楽であるEDMにパワーロックが接近していることは大変興味深い。



~~「幻のパワーロック」完~~


ひとつよろしくお願いいたします