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さぬき
2021年10月31日 20:34
参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館【七章】沼は静かに女性は静かに小夜姫の前に座ると、深く頭を垂れました。そして自分はかつて、高山なる掃部(かもん)長者の妻として、栄華の生活を送っていたが、あまりの欲深と邪悪さから神仏に見放され、大蛇の苦患(くげん)を受け、この地に棲むこと実に九百九十九年、この年月のうちに眉目良き女を服すること九百九十九人なり、この度は姫君に巡り会い、未来
2021年10月31日 17:44
参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館【六章】姫と大蛇翌日、吉実の妻は、小夜姫があまりにも美しいので、大蛇の贄(にえ)にすることを可愛想になりました。そのことを夫吉実に話すと、吉実は顔を変えて、実は贄のことは小夜姫にはまだ話していない旨を告げました。いづれ小夜姫に話さねばならぬことなのだが、どういう風に話し出したらいいのか、そのことで疲れた割に昨夜はあまり眠っていないこと
2021年10月2日 16:04
参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館【三章】吉実の苦悶吉実一行が釣りに来た日は、贄(にえ)を上納する八月十四日の一ヶ月前に当たっていました。数えてみると確か、今年の贄上納の当番は、机地庄兵ェ尉でありました。※机地庄兵衛尉・・・つくえじしょうべえのじょう。おそらく机地という地域の庄兵衛という老翁。そうすると、来年は吉実であらねばなりませんでした。吉実はすっかりふさ
2021年10月1日 11:46
参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館【二章】高山掃部長者さて話は変わりますが、その頃より数百年以前、この止々井沼(とどいぬま)のほとり、高山(上胆沢)という所に、掃部(かもん)という日本第一を自称する大長者が住んでおりました。名は祗春(まさはる)といい、祗明、祗広、祗勝という三人の子供にも恵まれ、上下胆沢五十七郡の土地を領有する大地主でした。屋棟は四十八、牛馬は三百五十
2021年9月23日 12:03
参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館昔々、上野の国、赤城の山に赤城大明神なるものが住んでおりました。※上野の国・・・こうずけのくに。現在の群馬県。※赤城大明神・・・あかぎだいみょうじん。赤城神社の祭神。この赤城大明神は、十丈余り(三十余米)の大蛇に化け、附近の住民、男女の別なく襲って取り食らい、或いは住民が丹精して育てた作物を食い荒らすなど、実に目に余るほどの悪事の限り
2021年9月19日 15:43
参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館昔、花淵善兵工(ぜんべえ)という漢方医がおりました。非常に腕が良いので評判になり、診察を乞いに遠くからも訪れる者もあって、先生先生と慕われておりました。漢方医というのは、自分で薬を作ることをしていたものでした。その薬の材料は、大抵山野に自生している草木から得ることが多いのでありました。即ち野生の草の葉か根、または茎か実を乾かし、そ