戸田 温

宇宙人。もの書きです(自称)。孤独(決して孤独にはなり得ないけど)。 人類学・哲学・ア…

戸田 温

宇宙人。もの書きです(自称)。孤独(決して孤独にはなり得ないけど)。 人類学・哲学・アート・詩・狩猟採集社会・人間的なるものの断捨離中。

マガジン

  • 本たち

    フリースタイル読書感想文。

  • 詩です。短いです。

  • 動物人間

    私のアイデンティティは「動物人間」。 限りなく人間に近い時、そうでない時。両者を行き来する私は、人間社会に苦しむ。 そんな、「動物人間」となる者の思考、感覚をここへ綴る。

  • 紀行文

    冒険とは新たな思考との出会い。 それをここに書き留めたい。

  • 休日の二度寝は木の下で

    休日は決まって近くの公園の木の下で二度寝をする。 同じ公園の、違う木の下で。 瞑想状態の中での異種との遭遇、交わりを言葉にしてます。

最近の記事

『日々のきのこ』語彙録

「菌婚式(fungi wedding )」 性別は問わず、同性、ポリもあり。ただ「菌として」愛し続けますか?と菌父さんなるものから聞かれる。 「菌人」 盈眩菌感染者の呼び名。漢字読めん。 「ばふ屋」 ホコリダケをばふんばふんと踏み歩き、胞子を撒き散らし繁殖を促す。秋限定の季節労働で、行政機関にも登録されている仕事。正式名称は、地胞子拡散業。(この本がSFだということを忘れ、翌日そんな職業はこの世に存在しないことを知り、大変落胆しました私。) 読み始めから、読了まで震えて

    • 生きる方法を知らない、あなたみたいには。

      時々、いやもっと頻繁に忘れる。 どうやって生きるのか。 どうやって息をするのか。 思い出そうとしても、深い深い海の底に沈んでしまった時のように、決して思い出すことはできない。 でも、そんな私のすぐ近くで、間違った場所で生まれてしまったように見えるのに、息をしているひとがいる。 ボイラーのタンクから滴る、水。そのすぐそばにそのひとはいる。 そんな風に、強くも、逞しくもないけれど、 そんな風に、生きる方法を知らないけれど、 もうあと一周、太陽のまわりを周ってみようか。

      • 胎内と海

        あなたは泳ぐ、胎内の外で あなたは泳ぐ、胎内の中で あの子は浮かぶ、胎内の外で あの子は浮かぶ、胎内の中で わたしは沈む、胎内の外で わたしは沈む、胎内の中で わたしたちは息をする、胎内の外で わたしたちは息をする、胎内の中で みな溺れる、胎内の外で みな溺れる、胎内の中で   生まれる、胎内の外で   生まれる、胎内の中で そしてまた、   泳ぐ、胎内の外で。

        • 喰われた、話。

          きっと他にはいないだろうと、もうこれは確信ですが、、、 今日未明、ムカデに左手小指噛まれました。 で、嬉しかったんです。笑 変人キャラだし、ヤバい奴だと周りには思われてるので、もう曝け出してますが、さらにそう思われるのは覚悟の上でのご報告です。 なぜ、嬉しかったのかと言いますと、それよりも前に森の中や畑を歩いていて棘のあるアザミが私の脚を掠った時、コロナにかかった時もそう。 人間は無敵な存在だ、と思われてる現代社会で、人間の私を全力で攻撃しに来る存在を再確認する事が

        『日々のきのこ』語彙録

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        • 本たち
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        • 7本
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          6本
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          9本
        • 休日の二度寝は木の下で
          2本

        記事

          森は私で私は森|主客未分

          遡ること9ヶ月前。 突然、森に呼ばれた私は家を飛び出し裏山を歩き始めた。 歩くテンポが速くなるごとに、坂道を登るごとに私の呼吸は荒れ、体内にできるだけ多くの酸素を取り込もうと口を大きく開ける。 靴を脱ぎ、肌で土を匂う。 足を止め、林冠の隙間からの木漏れ日を感じようと大地に身を委ねる。 まさにその瞬間、私と森の境目が無くなった。 私の呼吸も、森の呼吸も、虫達も見えない動植物達の呼吸も、その森を形成する全てが私だった。 私と世界の隔たりが無くなったその時、西田幾多郎の言

          森は私で私は森|主客未分

          あざみ

          歩いてるだけなんだけど お前と出会うと 痛い、痛い。 走ってるだけなんだけど お前と出会うと 痛い、痛い。 切れるの 血が滲むの 他のやつには無い トゲトゲ チクチク お前は誰? また次の日も、お前と出会う。 そしてまた、痛い。 他の奴らとは違う。 お前を見てもないのに。 分かる、そこに居るのが。 昨日も、今日も、きっと明日も、 そうやってお前と出会う。 あざみさん、こんにちは。

          自己はないけど自己紹介してみる|vol.2

          以前、こんな記事を書いてた。 あれから、かなり時は経ったが「自己紹介」について考えることはほとんど同じだ。 また、当時から自己紹介を幾度となく迫られてきた。 「自己」が何なのかはまだ分からないし、「マツタケ精神」を身に付けてからは更に、あらゆる生命等は不確定なのだと確信するようになった。 そんな中、それでも尚なぜ私たちは存在しないかもしれない「自己」の紹介をすることを辞めないのか?と不思議で堪らなくなっている。 限られた時間の中で、他者を知ろうとする行為。それこそが「

          自己はないけど自己紹介してみる|vol.2

          内と外とそれから内

          トタン屋根のほうで。 流れる水に、森の奥から聞こえる「ゴォぉー」。 それらは間違いないくらいに、身体の中から聞こえてくる。 真ん中を流れる体液(それは私が生きていることを確かめるための音)に、腹が減って鳴る音。 内蔵と外臓とを、行きつ戻りつ往還しつつ。 まだ「生きているんだ」と、嫌でも知らされる。

          内と外とそれから内

          のらと宇宙人と

          終わるさんぶんのいち はじめて下った坂道と ひとりぼっちの桜の木 石垣と 恐怖に襲われる君 ぼくの腕の中に駆け込む あれから 少しと3ヶ月 ずっとそこにいたら どんな色で どんなにおいで でも 居ない 居てはいけない 永遠の坂も 降る頃には 知ってたよりも ぽかぽかで 小さい人たちは 変わらず毎日 ふにゃふにゃの僕と うまれたての場所 歩き方も知らない僕と それは 永遠のトンネルのよう 明けてみれば 輝くいのちと燃えるせいめい きいろとみどりとあおとあか 五番

          のらと宇宙人と

          人間的なるものの断捨離

          夏至の日の夜。私たちはベランダにいた。彼女が作ってきてくれたスパイスのケーキとともに。 「ロウソク、ある?」と君は聞いてきた。部屋にあるロウソクといったら、人間の女性の上半身裸のキャンドルだけ。それはケーキには刺せない。「ここの宿主に聞けばあるかも」と、私は探しに行った。でも、その主がくれたのは仏壇用のロウソク。少し早い誕生日ケーキに、仏壇用のロウソク。 生と死の融合。 私たちは、なにかを食おうが食わまいが、歩こうが歩かまいが、どんな選択を選ぼうが、この世に生まれた時点

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          人間的なるものの断捨離

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          混沌と前ならえ

          人間の世界に上手く紛れ込もうと、外に出る。 「靴」を履くのを忘れて。 おひさまと、おつきさまが選手交代する時は、屋根の上にいる。何をすることもなく、ただそこに。 綺麗に一列に並べられた屋根の瓦。 どれも同じで、みんな前ならえ。 このうちの一つでも欠けたら、全部ダメになってしまうんだろうな。 前に自転車で行った島で見た岩の群集は、どれも形も、大きさも、向いている方向も、考えていることもぜーんぶ違った。 だから、一緒にいたけどそのうちのひとつやふたつ居なくなったって

          混沌と前ならえ

          アスファルト、冷めない。

          家をとび出す、裸足のままで。 午後7時、陽は沈む。 なまぬるい、世界に置いてけぼりのアスファルト。 冷めることのない愛、みたいに。

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          アスファルト、冷めない。

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          他者を喰うこと

          「なぜ、私たちは他者(他種)を喰うのか」 「カナルタ〜螺旋状の夢〜」を観終わった私は、松山城の麓に広がる芝生の上で思考を巡らせていた。 とても不思議だった。私は、アマゾンに行ったことがない。にも関わらず、山道で足を止め空を見上げた時、ふと「私は今アマゾンにいる」と錯覚していた。木々の隙間を通り抜ける風、葉の間を潜り抜け私のところまで届く光、匂い、マイキュア、、、。 当たり前だが、私も、これを読んでいるあなたも日々「他者」を体内に取り込んでいる。それは人参や蓮根などの野菜

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          他者を喰うこと

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          あの桜の木

          この桜に木の蕾が春には顔を見せてくれることを。 この桜の木で春には小鳥たちがその声を聴かせてくれることを。 この桜の木の花を春には愛でることができることを。 こんなにも強く願ったことがあっただろうか。 善と悪で埋め尽くされているこの世界で、私は何になりえようか。 地面に咲く花や、道路に立ちそびえる木々、人目を掻い潜ってひっそりと生きる虫たち。 なぜ、そんなにも簡単に彼らの存在を消し去ってしまうことができようか。 善も悪も誰もその桜の木の蕾が春には顔を見せてくれる

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          あの桜の木

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          「あなた」と「私」とそれ以外の何か

          私は私で、あなたはあなた。 私は人間で、あなたは動物。 私は人間で、あなたは植物。 どこに出かけても、境界線だらけ。 植物はきれいに道端にレンガで囲まれ、かつて人間の捕食者だった動物たちは檻で囲まれ、檻と柵ばかり。 いつからそんな風に境界線が引かれ始めたのだろう。 いつしか、動物と対峙することなんて全く無くなった。 かと思いきや、その境界線を越え、野生の熊や猪が現れると町は大騒ぎ。 そして急いで、駆除。 人間の敵を世界の端に追いやり、柵で囲み、安泰な世界をつ

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          「あなた」と「私」とそれ以外の何か

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          科学以前の想像力

          いつものように南部鉄器で湯を沸かしていた。しばらくすると、次々と底の方から浮かんでくる何かが見える。始めは小さかったその何かが、隣のそれと出会い、交わり、大きくなってゆく。 そして、ぱっと消え去る、、 これは熱せられた水が、、、 そこに科学が介入してきた途端、私の思考は断たれた。

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          科学以前の想像力

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