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人間的なるものの断捨離
夏至の日の夜。私たちはベランダにいた。彼女が作ってきてくれたスパイスのケーキとともに。
「ロウソク、ある?」と君は聞いてきた。部屋にあるロウソクといったら、人間の女性の上半身裸のキャンドルだけ。それはケーキには刺せない。「ここの宿主に聞けばあるかも」と、私は探しに行った。でも、その主がくれたのは仏壇用のロウソク。少し早い誕生日ケーキに、仏壇用のロウソク。
生と死の融合。
私たちは、なにかを食
「あなた」と「私」とそれ以外の何か
私は私で、あなたはあなた。
私は人間で、あなたは動物。
私は人間で、あなたは植物。
どこに出かけても、境界線だらけ。
植物はきれいに道端にレンガで囲まれ、かつて人間の捕食者だった動物たちは檻で囲まれ、檻と柵ばかり。
いつからそんな風に境界線が引かれ始めたのだろう。
いつしか、動物と対峙することなんて全く無くなった。
かと思いきや、その境界線を越え、野生の熊や猪が現れると町は大騒ぎ。
人間の皮膚を装う四つ脚
それは突然に私を襲ってくる。
まるで、店の中に迷い込んだ動物のような感覚。
視線の先には、ヒト、ヒト、そしてヒト、、、。
なんておかしな世界だ。人間は人間の世話をするのでいつも忙しい。
人間たちは、人間以外の生が存在することを忘れてしまっている。
床を這う小さな蜘蛛や、迷い込んだ蝶なんかには目もくれない。
人間が話す言葉さえも、奇妙に感じていた。
どうやら私は、人間の言葉を忘れてしま