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動物人間

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私のアイデンティティは「動物人間」。 限りなく人間に近い時、そうでない時。両者を行き来する私は、人間社会に苦しむ。 そんな、「動物人間」となる者の思考、感覚をここへ綴る。
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記事一覧

のらと宇宙人と

のらと宇宙人と

終わるさんぶんのいち

はじめて下った坂道と
ひとりぼっちの桜の木

石垣と 恐怖に襲われる君
ぼくの腕の中に駆け込む

あれから 少しと3ヶ月
ずっとそこにいたら
どんな色で どんなにおいで

でも 居ない 居てはいけない

永遠の坂も 降る頃には
知ってたよりも ぽかぽかで
小さい人たちは 変わらず毎日

ふにゃふにゃの僕と うまれたての場所
歩き方も知らない僕と
それは 永遠のトンネルのよう

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人間的なるものの断捨離

人間的なるものの断捨離

夏至の日の夜。私たちはベランダにいた。彼女が作ってきてくれたスパイスのケーキとともに。

「ロウソク、ある?」と君は聞いてきた。部屋にあるロウソクといったら、人間の女性の上半身裸のキャンドルだけ。それはケーキには刺せない。「ここの宿主に聞けばあるかも」と、私は探しに行った。でも、その主がくれたのは仏壇用のロウソク。少し早い誕生日ケーキに、仏壇用のロウソク。

生と死の融合。

私たちは、なにかを食

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「あなた」と「私」とそれ以外の何か

私は私で、あなたはあなた。

私は人間で、あなたは動物。

私は人間で、あなたは植物。

どこに出かけても、境界線だらけ。

植物はきれいに道端にレンガで囲まれ、かつて人間の捕食者だった動物たちは檻で囲まれ、檻と柵ばかり。

いつからそんな風に境界線が引かれ始めたのだろう。

いつしか、動物と対峙することなんて全く無くなった。

かと思いきや、その境界線を越え、野生の熊や猪が現れると町は大騒ぎ。

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午前3時

午前3時

私は森の中で眠っていた。

それは突然の出来事だった。

「タタタタッタ」

何かが猛スピードで走りだした。

次の瞬間、それは「ドンッ」という低く鈍い音と共に何かにぶつかった。

そして、その音と共にぶつかられた者が「キーッ」と甲高い声で鳴いた。

「次は私か」

そう思った。

それに喰われると。 (いや、喰うか。)

やはり、その時恐怖が私を埋め尽くしていた。

なす術もなく、ただただ横たわ

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野生への誘い

野生への誘い

裸足で山を歩くことを夢見てから早2ヶ月。

着々とその夢は実現に向かっている。

先日、家から片道30kmある皿ヶ嶺へ愛車(クロスバイク)と共に向かった。

登山口近くに自転車を止め、山頂に向けて歩き始めた。

初めは農道をひたすら進み、小石が転がる山道を登っていった。途中、車道に出るや否や靴下と靴を脱ぎ捨て裸足になった。

嗚呼、なんという開放感だろうか。

アスファルトの凹凸、

日陰と日向の

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人間の皮膚を装う四つ脚

人間の皮膚を装う四つ脚

それは突然に私を襲ってくる。

まるで、店の中に迷い込んだ動物のような感覚。

視線の先には、ヒト、ヒト、そしてヒト、、、。

なんておかしな世界だ。人間は人間の世話をするのでいつも忙しい。

人間たちは、人間以外の生が存在することを忘れてしまっている。

床を這う小さな蜘蛛や、迷い込んだ蝶なんかには目もくれない。

人間が話す言葉さえも、奇妙に感じていた。

どうやら私は、人間の言葉を忘れてしま

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