1未満の不自然たちへ(短編・1/2)
淡い夢を見ていた日は、必ず雨の音で起きた。カーテンを開けない。音のままでいろ。
ボクにとっての大きな出来事、転換は、雨の降る時をいたく好む。そんな強調など、お芝居の中だけで充分なのに。しとしと、ざあざあ。これ程までにありふれて、しかも厖大な数のものを鍵にされたボクの記憶は簡単に解かれる。もういい、やんでくれ。……これ以上開くペイジはないんだ。どれを読むかは、ボクが勝手に選ぶから。
鳴る前のアラームを切った。なぜ目覚ましは、心を許せた筈のメロディーさえも倦ませるのだろう。