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子ども達に探求させる授業は難しい

その日は今年初めての総合学習授業でした。

学校ビオトープでそこに住む生き物を探すことにしました。今年は去年の反省に立って、教えることよりも子ども達が自分で考えたり調べたりする方向に引っ張って行こう!と先生方た地元のメンバーと画策して、みつけた生き物の名前はすぐに教えないで、子ども達が自分達で調べるように仕向ける魂胆です。

最初のクラスも、次のクラスも、けっこう虫の名前はそれなりに知っている子が何人もいるみたいで、ダンゴムシとかアメンボとかは大人が教えなくても当たり前に子ども達は紙に名前を書いていました。誰かが言うのを他の子も聞いて知ろうとしているのですね。

勘違いして虫の名前を覚えられたら、後でマズいかも

コオイムシという背中に卵をたくさんつけて水の中を泳ぐ虫は、さすがに知っている子は少なかったですが、コオビムシだ!とか惜しいけど間違った名前を誰かが言って広まってしまいました。そういうふうに間違って覚えられ、もし将来に中学受験の問題に出て不合格になったらたいへんだから、ちゃんと「コオイ虫だよ」「コオイムシは子負虫って書くけど、意味わかる?」とかいうように子どもに質問とかして、子(卵)を背中に負っているから子負虫(コオイムシ)なんだよ、と説明しました。これを見て先生も満足そう。

4年生はけっこう論理がわかるよ

ついでに卵を背負っている虫はオスかメスか?
というクイズを出しました。子ども達は4年生。どう考えるのかな?と私は興味がありました。結局オスだ!派とメスに違いない派が半々ぐらいに意見が分かれてかんかんがくがくの議論になったけど・・・何人も自分の考えを言ったあと、メスが自分で自分の背中に卵を産のはできそうもないから、考えられることは、メスがオスの背中に卵を産み付けているのだろう、という意見でみんな納得しはじめ、だからタマゴを背負った虫はオスだろうとなりました。これも正解です。4年生はこのような考えがちゃんとできるのです。

ただ私自身もコオイムシのメスがオスの背中に卵を産んでいるところを見たことが無いので、せっかくだから教室で飼って観察してみたら?と言ったら先生は渋い顔になりました。
教室で生き物飼うのは土日とか夏休みに世話するのがたいへん過ぎるのでやらない方向だというわけです。先生も働き方改革中だから仕方ないですね。提案しながらちょっと後味悪くなりました。こういうところが即興で授業する難しさです。

原っぱの草の名前って、あまり知られていないみたい

虫はクラスに虫博士君がいますが、植物はみんなあんまり名前を知らないです。これは子どもに限らず大人もそうです。野原に生えている植物は「雑草」という一言で片づけてしまえるので、マニア以外は野に生える植物の名前について考えたことも無いという感じでしょうか。

でも今日は授業なので、植物も探しました。が、子ども達は名前が分からないと紙にどう書いたらいいのか困ってしまうわけですね。

「名前分からなかったら、絵を描いてみてー!」って言いましたが、絵は描くのがめんどくさいのと、描いてヘタだったら嫌だとかで、絵を描きたがらないのですね。

それでも名前は教えない方針でいましたが・・・

3組目の子がひとり「ねえねえ、この草、なんか葉っぱが匂いする!」と私に見せてきました。
「そうそう、これは野草じゃなくて、ミントなんだ!」と私はうっかりその植物の名前を喋ってしまいました。それからというもの、周囲にいた子ども達の眼つきが変わり「これは何?」「じゃこっちの花は?」とひっきりなしに私に名前を聞いて来るもんだから、これはもうパンデミックになってしまいました。

この子に名前教えたのに、次の子に教えないのはズルイ!となるだろうし、なので聞かれた名前は全部白状しました。

この授業で、子ども達は生き物に興味ある子も、そうでない子もかなり真剣だということが思い知らされました。

生き物に興味ある子は、自分の能力をここで試してみるために、興味が無い子は、ぼくらが言ったことをすぐメモしていました。他の子がすごいから自分だけ分からないとたいへんになると思ったのかもしれません。

だから教えるのであれば、間違いは教えないようにしないとならないですね。

だけど一発ミスしました。


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