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水原一平さんの事件から考える”人がリスクを選択する”瞬間について③

ども!すけです!

今回はリスク選択について、水原一平さんの事件を基に考えてみたシリーズのまとめ回となります。

①ではバットとボール問題を例に出して、自信がない人でも身近に起こりうる自信過剰によるリスクについて書きました。

②では損失回避という概念から人がリスクを選択してしまうメカニズムについて、リスクを選択しやすい瞬間について書きました。

この記事はのテーマはリスクの選択です。
しっかり理解して楽しみたい人は上の2記事を読んでからこちらを読むことをおススメします。

ちょっとトレンドからは遅れていますが、メジャーリーガーの大谷翔平選手の通訳である水原一平さんが銀行詐欺の罪と、うその納税の申告をした罪という2つの罪で起訴された事件から考えたいと思います。

ここまで引っ張ることではないのですが、最後は即時報酬(≒現状バイアス)の力について書いてこの水原さんの記事を終了にしようと思っています。

ということで、いってみましょう!

即時報酬の魔力

これまで見てきた現象は、
自信過剰でリスクの見積もりを誤り、
損失回避で状況が悪いほどリスクをかけてしまうことを書きました。

即時報酬は、簡潔にいえば労力の対価が早ければ早いほど価値を持ち、遅ければ遅いほど価値を失っていくというものです。
当日働いたお給料が3ヶ月後にもらえる仕事と当日にもらえる仕事だったら、多少の差額があったとしても当日にもらえる方がいいですよね?

そりゃそうでしょ!

って感じる人も多いと思うのですがこれもリスクの選択という視点で見ると生活の様々な場所に潜んでいます。

最も簡単に思いつくのはクレジットカードではないでしょうか?
多くの人がクレジットカードの支払い日に「こんなに使ったけ?」って感じたことがあると思います。
クレジットカードの場合は、
労力:支払い
対価:商品やサービス
となり、労力を後回しにして商品やサービスに即時報酬がある状態と言えます。

主に即時報酬をテーマにしたデータではないが、クレジットカードの保有により中低支出層は支出額が上がるとみられるデータもある。

また、即時報酬はお金以外の部分でも当てはめることができます。

最も身近なものはスマートフォンアプリ内の通知、バッジです。
あれって、SNSの投稿をした後とかに通知が来たら早く見たくなりません??
実はこの通知も様々な意図でデザインされているものであり、その1つが即時効果の働きであり、以下のような関係性になります。

労力:通知の確認、返信
報酬:自己肯定感や承認欲求を満たしてくれる

SNSで「いいね」やコメントをもらうことで自己肯定感が高まったり、コメントやメッセージに返信することで社会的な繋がり、承認欲求が満たされます。
僕たち一般の人にとって「自己肯定感」とか「承認欲求」が満たされる瞬間って意外と少ないんですよね。
なので、この報酬が目の前にあるのはとても大きなことで、後回しにするよりも先に手に入れたくなる感情が働きます。

さて、即時報酬の身近な事例について理解ができたところで、水原さんの話に戻ってみます。
水原さんにとって、この即時報酬は非常に大きく働いたんじゃないかな?と考えれます。
これはギャンブルに関しては特に強く働くので、①、②の内容も踏まえてまとめていきます。

まとめ

水原さんの事件は、ほぼ全てがギャンブルのためのお金の工面であったとも言えます。
そして、水原さんが生きる環境そのものが①自信過剰になりやすかったのも大きいでしょう。
日本人に知っている通訳者の名前を聞いて、水原さん以外の名前を挙げられる人はどのくらいいるでしょうか?
おそらく仕事で関りがある人以外はほとんどいないと思います。
それは水原さんが通訳者の中では特別に有名な存在であることを意味し、一般的な通訳者が持つ影響力よりも大きなものを手にしてしまってコントロールが難しい状況と言えます。
(最近は一般人がインフルエンサーになる時代なのでわかりやすく自信過剰に陥っている人はいますよね)
この自信過剰がリスクの見積りを誤らせることによって、やっていいこととダメなことの判断基準ができなくなります。
そして失敗する。
今回の場合はギャンブルによって思っていたよりもお金がなくなるという失敗がスタートです。
失敗した結果、さらに水原さんは追い込まれます。
②損失回避は、人は既に持っているものを失わないようなリスク回避が働き、逆に既にマイナスな状況ではリスクを選択しやすいという考え方であり、まさに水原さんの状況下では損失を取り返すためにリスクを選択しました。
このような状況にいる時には大谷選手の銀行口座からお金を引き出すというリスクも選択しやすくなっているわけです。
ここに②損失回避だけの働きではなく③即時報酬もついてきます。
ギャンブルで少し損失を取り返すことも、大谷選手の口座からお金を引き出すことも、どちらもうまくいけばすぐ目の前にお金が手に入ります。
この記事の例で説明した通り、即時報酬はお金だけではありません。
自分の社会的存在を維持できる喜びや、満足感なども報酬として認識します。
そして①自信過剰がついてきやすい環境になり、失敗から②損失回避が働き、時に③即時報酬がついてくる。
また①自信過剰が働き…
この連続と継続性が、大谷選手を装って銀行へ24回の電話、違法賭博の胴元側への不正送金は少なくとも41回という結果を生んでしまうわけです。

決して水原さんを擁護したいわけではないのですが、以上のことが「なぜ大谷翔平選手の通訳という立派な地位があるのにそんなことをしたのか」という問いに対しての回答です。
そして「大谷翔平選手の通訳という立派な地位があるからころこんなことになりやすい」という理由の一部の紹介でした。

突き詰めればもっとあると思うのですがそろそろ次のテーマを扱っていこうと思います笑

このマガジンでは「行動経済学の視点から世の中で起こっていることを考えてみる」ということを記事にしています。
少しでも新しい発見があった方は他の記事も読んでもらえると嬉しいです!

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それではまた!
最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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