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水原一平さんの事件から考える”人がリスクを選択する”瞬間について②

ども!すけです。

今回はのテーマはリスクの選択です。
ちょっとトレンドからは遅れていますが、メジャーリーガーの大谷翔平選手の通訳である水原一平さんが銀行詐欺の罪と、うその納税の申告をした罪という2つの罪で起訴された事件から考えたいと思います。

まだ①を読んでいない場合はそちらから読むのがおすすめです。

①では「なぜバレないと思ったのか」ということを取り上げ、人が自信過剰になる瞬間や確証バイアスについて触れました。
要はリスクを考えられない瞬間がある。リスクを見失う瞬間があるということ。

②では、リスクの高い選択肢をとってしまいやすい状況について考えてみます。

謎② なぜ現在の地位を捨ててまで犯罪のリスクを選択したのか

この謎の結論も1つ目の謎と同様にそうなってしまいやすい環境が存在します。

今回はギャンブルが大きく絡んでいることに着目してみましょう。

2021年11月からことし1月にかけて行った、違法賭博の胴元側への不正送金の回数は少なくとも41回にのぼるとしています。

NHK : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240509/k10014443921000.html#anchor-05

ことし、というのは2024年のことなので、約2年間で41回の計算になり、月に1〜2回は大谷選手のお金で不正送金を行なっていたということになります。

なんでそこまで?
って普通は思いますよね。

しかし、ギャンブルと感情を知ることで今の皆さんの気持ちよりも、ほんの少しだけ水原さんの行動を理解することができるはずです。

ギャンブルと感情を結びつけて考えるときには、「リスクとリターン」「即時報酬」から考えると僕たち一般人にも理解がしやすいので、今回の記事ではこの2点について考えてみます。

リスクとリターン

まずはシンプルな質問に答えてみてください。

質問①
A:確実に10万円もらえる
or
B:90%の確率で15万円もらえる
(10%の確率で何ももらえない)


どっちがいいですか?


質問②
A:確実に10万円を失う
B:90%の確率で15万円を失う
(10%の確率で何も失わずに済む)


どっちがいいですか?


多くの人は質問①ではAを選び、質問②ではBを選びます。
僕もそうです。
確実に10万円を失う」って強烈に嫌な言葉じゃないですか?笑

じゃあ次にいきましょう。

質問③
あなたはコイン投げのギャンブルに誘われます。
表が出れば15万円もらえます。
しかし、裏が出れば10万円払わなければなりません。

やりますか?やりませんか?

僕はやりません。
読んでくれている皆さんの中でもほとんどの人はやらないんじゃないでしょうか?
もし、やりたいって人は職場に行った時に色んな人に声をかけてみるといいと思います。

さて、ここで考えたいのはこのコイン投げではお金がもらえる時の方が条件がいいということ。
誘われた側の方が有利なんです。
それなのにあんまり乗り気にはなれません。

もう少し条件が変わったらどうでしょうか?

質問④
あなたは既にコイン投げのギャンブルで10万円を失っている。
最後のコイン投げでは、
表が出れば15万円もらえます。
しかし、裏が出れば10万円払わなければなりません。

やりますか?やりませんか?


こうなるとやりたい人は少し増えたんじゃないでしょうか?

既に10万円負け越しているという環境になると、ゲームの条件は同じなのに質問③よりも質問④の方が検討の余地が出ててきます。

なんだかちょっと事件の話に近づいてきている気がしません?

少し整理しましょう。
質問①、②ではリスクを取るタイミングについてわかることがあります。
質問①のようにお金がプラスになる時はリスクをとらず(ギャンブルをせず)確実な選択をしました。
しかし、質問②のようにお金がマイナスになる時はリスクをとって(ギャンブルをして)マイナスを回避する選択をしました。
このような行動のことを損失回避と呼びます。
僕たちはプラスになることよりもマイナスを回避するための方がリスクを取りやすい。
これは労力をかけやすいという言い方もできますね。

質問③、④ではリスクを取るのは条件ではなく自分の状況によって変化することがわかります。
質問③では乗り気になれなかったコイン投げも、質問④のように自分の状況がよくない場合は検討の余地が出ててきました。
何かを得られる時よりも取り返す時の方がリスクを取りやすくなったと言えますね。

つまり、
人はリスクとリターンを考える時には、条件だけを見て判断しているわけではない。
今、自分の状況がどうなのか?という主観を元に条件を判断しているということです。
さらに自分の状況が悪いとう主観を持つ時にはリスクを選択しやすくなる。

これを参照点に基づいた判断と呼びます。

これらは行動経済学の原点でもある(※勝手にそう思っている)プロスペクト理論の考え方で、多くのシーンで活用されています。

営業のお仕事の現場では「お客さんに即決をしてもらいたい時はお得なことを伝えるのではなくて、契約しないことによる損を伝えた方がいい」みたいなことがよく言われます。
なぜそうした方がいいのか?は今回のページで説明がつきますね。

ちなみにスーパーなどのタイムセールもそうです。
あれはお得な時間をアピールするのではなくて、それを逃してしまうことによる損失をアピールしています。

営業でもスーパーでもこれらの根本を知ることで、より効果を期待できます。

今回は謎②なぜ現在の地位を捨ててまで犯罪のリスクを選択したのかについて、リスクとリターンのことを考えてみました。

悪い状況になればなるほどリスクを取る。
リスクを取って悪い状況になるとそれを取り返すために更にリスクを取る。
そうやって知らない間にとても大きなリスクを取ってしまっている。
これが水原さんがリスクを選択した要因の一部であると想像することができます。

次は謎②-2的な感じで「即時報酬」について書いて、水原一平さんシリーズを締めくくろうと思います。

それでは!

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