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【#17】マグヌードルは、食事?おやつ?

平成。

それは「ポケットビスケッツ」がミリオンを達成するような時代。
この小説は、当時の事件・流行・ゲームを振り返りながら進む。

主人公・半蔵はんぞうは、7人の女性との出会いを通して成長する。
中学生になった半蔵が大地讃頌を歌うとき、何かが起こる!?

この記事は、連載小説『1986年生まれの僕が大地讃頌を歌うとき』の一編です。あ

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1992年(平成4年)12月25日【金】 
半蔵はんぞう 6歳 保育園(年長)


 

「俺はマリオカート!※後述

「僕はバーコードバトラーⅡ!」

 

【※】
 バーコードを読み取って戦うゲーム機。
 1992年にエポック社から発売された。
 私は、スーパーで見かけたグッズ(ノートやえんぴつ)を買って、大好きになった。
 専用のカードが同梱されてはいるが、一般商品などについているバーコードを使って戦えるのが肝であった。
 
漫画の『こち亀』にも登場している。

 

秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
80巻p85
秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
80巻p86



『サンタさんに、何もらった?』

 

今日の保育園は、この言葉が挨拶代わりだった。

 

「すげーなサンタさん!イイケンがほしいもの、ドンピシャじゃん」

「半蔵も、ほしいものもらえてよかったな」


 

マリオカートもバーコードバトラーも、二人で対戦できるのが素晴らしい。

 

「マリオカートなら俺も持っている」


 

会話に割り込んできたのは、天光寺だった。
ドッジも強いし足も速い・・・・・・そのくせ態度もでかいやつだ。

 

「もっとも、発売日に買ったがな。F-ZEROと同じくらい面白いゲームだ」


 

聞いてもいないのに、一方的に話してくる。

 

「明日から冬休みか。スーファミを持っていない服部にやらせてやってもいいぞ」

 

誰が、おめーの家に行くか。

こいつが誘ってくるなんて、何かウラがあるはずだ。

どうせやるなら、イイケンの家で楽しくやった方がいいに決まっている。

 

そう言いかけたが、次の言葉は聞き流せなかった。

 

「せめて、ゲームくらい勝ってほしいもんだ」

「なんだと!?」

 

たしかに、天光寺はあらゆる場面で活躍していた。

歌、お遊戯、マット運動、ドッジ。

 

だが、今まで勝負した覚えはない。

勝手に負けたことにされるなんて、ふざけた話だ。

 

それに、ゲームの腕には自信がある。

 

「やってやろうじゃないか」

「ほぅ。おもしろい」


 

話し合いの結果、マリオカートで勝負することになった。

勝負の日は冬休み開け。マリオカートを買ったばかりの僕たちに、配慮したのだろう。

絶対に負けられない戦いが、始まろうとしていた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

キノピオが一番使いやすいな」

「おう。壁にぶつからないのが大事だからな」

 

 

冬休み。

僕はイイケンの家でマリオカートの特訓をしていた。

 

ゲームをやらせてもらう分、食料は僕が持ち込んだ。

もちろん、マグヌードルだ。

出典:Amazon


【※】
 1992年10月に日清から発売された。コンセプトは「マグカップで食べる食べるひとくちヌードル」である。
 小腹が空いたときに、母がよく作ってくれていた思い出。


「おじさんも何か手伝おうか?」

「いえ、ダイジョウブです」


 

天光寺と対戦することを知っているおじさんは、勝負の行方が気になるのか、しょっちゅう部屋をのぞきに来た。

 

「おじさんが、敵役になってもいいんだよ」

「いや、オジサンはいい人なんでゴエンリョします」


 

おじさんは、部屋を出て行った。
少しさびしそうにしていたのはなぜだろう。

 

 

冬休みの間は、お正月以外特訓をした。

ゲームは1日1時間しかできない。それ以外の時間は外で走ったり、近所の野良犬を見に行ったりして、心と体も強くした。


 


「なぁなぁ、マリカー以外に“コレ”もやっておいた方がいいんじゃないか?」

「そうだな。“このゲーム”で眼を鍛えておいた方いいわ」

 

時には、マリカー以外のゲームもやった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

それは、冬休みの中でも特に寒い日に起こった。

マグヌードルに飽きてきた僕が、ラ王を食べていたときのことである。

『昭和50年男 2021 May vol.10』p70
2021年4月11日/クレタ

【※】
 1992年に日清から発売されたカップ麺『日清 ラ王』のこと。

 フライ麺主流の時代において、生麺に近い”ロングライフめん”を採用。店のラーメンに劣らない食感と味を実現することで、ヒットした。
 価格が高い(当時250円)が高いことも知らず、よく母に買ってもらっていたっけ・・・・・・。


 

「なんだ今のは!?」

 

僕たちは、見たことのない光景に驚く。
イイケンが操作するキノピオは、他のキャラを大きく引き離してゴールした。


 

「イイケン!今のどうやってやったんだ!?」

「わからん!ボタンを押しただけのはずなんだけど・・・・・・!」

 

二人で何度も試す。

 

一日が、あっという間に過ぎた。

二日目も、何もわからなかった。

三日目で、手がかりをつかみ、四日目でモノにした。

 

 

(すげーもんを発見してしまったぞ・・・・・・)

これがあれば、必ず勝てる。

 

くっくっくっく。
天光寺め、待っていろ。

 

お正月を過ぎても大量に残っている餅を食べながら、僕は闘志を燃やしていた。


 

(つづく)

 

解説【マリオカート】(ゲームに関心がない方はスルーしてください)

 1992年8月27日に任天堂から発売されたソフト。
 
 正式名称は「スーパーマリオカート」で、売上は約382万本。
 日本で最も売れたスーパーファミコンのソフトである。

出典:youtube(下記リンク)
【SUPER MARIO KART】 150CC 全20面クリア (All Stage Clear)
配信者:プレイ動画アーカイブス/ kobakoさん

 

 ドライバーとしてマリオを採用したアイディアが素晴らしい。(開発当社は、ただのヘルメットをかぶったおっさんだった)
 みんなが知ってるマリオが運転するのだから、子どもウケは抜群だった。 
 

 「F-ZERO」にはなかった画面2分割の対戦モードがあるので盛り上がるに決まっていた。
 私はスーファミを持っていなかったが、友人の家でやりまくった記憶がある。

出典:youtube(下記リンク)
【SUPER MARIO KART】 150CC 全20面クリア (All Stage Clear)
配信者:プレイ動画アーカイブス/ kobakoさん




 レースゲームにアイテムを導入する、というアイディアが画期的でとにかく対戦が熱い。
 アカ甲羅こうらやダッシュキノコを使えば一発逆転のチャンスがある。
 最近、NintendoSwitchで「マリオカート8」をやったのだが、「羽根」のアイテムがなくなっていた寂しく感じた。

 私が高校生の頃、スーファミを学校に持ってきたクラスメイトがいた。
 昼休み、教室のテレビにつなぎ対戦大会を開催していた。(無論、くっそ盛り上がっていた)



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見出し画像は「日清マグヌードル」です。
出典:日清公式サイト

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