「(K)not」第四十話
毎年この時期、中高一貫のミッションスクールに通っていた僕は待降節の準備で大忙しだった。それなのに今年は試験勉強に忙しい。ようやく脚の筋力が戻り、外を出歩けるようになって来たというのに、と僕が切ない溜め息を吐いていると、爽が「家族には内緒で二人だけで出掛けたい」と誘ってきた。何だろう、なんかドキドキしちゃうな。
当日の空は低く薄曇りで、今にも降り出しそうな雪の気配に完全防寒で家を出る。爽とは駅の近くのカフェで待ち合わせていた。駅までの道の途中、寒いはずなのにマフラーに埋め