ハンチバック
市川沙央 2023年
・あらすじ
・感想
今年の芥川賞を受賞した作家さんですね。前々から興味があって、読んでみようと思っていました。進路活動がひと段落(まだ合格発表されていない)したので、ついに読むことが出来ました。
作者と同じ病気に苦しみ、他の人と同じように生活することが出来ず、大変そうな姿、また普通に生活している人たちへの嫉妬や怒りといった感情も繊細に描かれていました。本のページをめくることも満足にできない。生きれば生きるほど壊れていく体。だからこそ、人並みに普通な生き方がしたいという作者の想いが綴られていました。
今の何不自由なく生きて活動できているこの状態は、みんながみんなそうというわけではないことを感じました。例えば、手を骨折して使えなくなっただけでも、ペンは握れないし、スマホは触れないし、バックからICカードを取り出すことすらも厳しくなる。この作品のように、車いす生活になってしまえば、自分の足を使って自由に動く事も出来ない。そう考えると、大きな病気もケガもしていない、この今の状態がいかにすごいことか実感しました。人間は無限の命ではありません。だからこそ、当たり前の日常を大切にしていきたいと思いました。
またこういった人たちへの配慮というものも、大切なことだと再認識しました。普通な暮らしが出来ないからこそ、助けることはもちろん必要ですが、それ以上に、そういった人たちと、普通の人たちをえり分けたり、軽視したりするような発言や行動は、許されないものだと実感しました。こういった人が身近にいた時、その人の立場に立って考えることや、考えて発言するということが、今の私には求められていると考えました。
今回は、今年の芥川賞の作品を紹介しましたが、来月は直木賞の作品を紹介したいと思っています。また何冊か積読もあるので、そちらも紹介したいです✨
こちらの動画も本を読むきっかけになりました。とても分かりやすくておすすめです。