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かがみの孤城(上・下)

辻村深月 2017年

・あらすじ

学校で居場所を失い、家に閉じこもっていた「こころ」は突如、自宅の鏡を通して出現した城に通うことになる。そこでは似たような境遇にある似たような歳の7人が集まった。鍵探しを始めるためにここに連れてきたと狼の面をかぶった謎の少女から告げられる。終わりが近づくにつれて、あることに気づく。果たして願いは叶うのか――。

助け合うことの出来ない7人の絆を結ぶ感動の物語。2018年本屋大賞受賞作。

・感想

いよいよ今夜、日テレの金曜ロードショーで『かがみの孤城』が放送されますね。最近まで全然知らなくて、気付いたのが1週間前でした。原作はすでに1月に買っていたのですが、もう少し後でもいいかと思って後回しにしていました。それを急遽今週中にすべて読むことにしました。テストも終わって学校も休みになっていますし。終わるかどうか不安でしたが、なんとか4日間で読むことが出来ました。映画にも舞台にもなった作品です。個人的には2022年に公演された舞台、興味がありましたが、その存在を知ったのが終演した翌年…。最大のやり残しです!
(※注意:この先ネタバレの要素があります。ご注意ください。)

謎の力によって吸い込まれてきた不登校の中学生たちが集まって、鍵探しをする物語です。それぞれいろんなことが原因で不登校になってしまったようです。学校でいじめられた、周囲の環境になじめない、親の考え方の問題など。しかし、それで休んで逃げてしまうだけがすべてではないというメッセージが込められているようでした。自分の解釈が原因でふさぎ込み、その場から逃げており、1年間の城通いで気付いて考え直す姿が描かれていました。

私たちは何か起こった時に自分の主観だけで物事を考えてしまい、周りの人がどう思っているのかは二の次になっていることが多いと感じます。自分がした勝手な思い込みや解釈によって人間関係が傷つくことは少なくないでしょう。そういった自分中心な考え方、盲目な部分をこの作品では指摘しているのではないかと考えました。例えば、待ち合わせとかはわかりやすいですよね。私もこれまで生きてきた中で待ち合わせをする機会が何度もありました。「何時にここにいるから」という待ち合わせだけでも、北口で良いと思っていたら、向こうは改札を出ないで駅のホームでというつもりで言っていて間違ったことが結構ありました。所詮言葉は人によって解釈は違いますし、こんな小さなことでも間違いが起こることもあるので、そういった捻じれは防ぎようのないことだと思いつつ、怖いなぁとも感じました。

また、時代によってだいたい7年間のずれがあり、その中から7人が選ばれていること、謎の少女が狼面をかぶっていることなどに、グリム童話『狼と七匹の子山羊』の要素が含まれていてとても面白かったです。特に7年の差の部分は読み進めるにつれて、学校が一緒なのになんで実世界で会おうといったときに揃わなかったんだろうという謎が大きかったです。ゲーム機や微妙な言葉の違いから、もしやと思いましたが最後は点と点を繋げたような感覚になってすっきりしました!

私も今日のテレビの放送楽しみです。必ず見ます!

『かがみの孤城』は2/9(金)夜9時より金曜ロードショー(日テレ)で!

・書籍情報

かがみの孤城(上・下) 辻村深月
初版刊行:2021年3月5日
刊行元:ポプラ社
定価:本体780円[税別]
ISBN
上巻:ISBN978-4-591-16971-1
下巻:ISBN978-4-591-16972-8
備考
単行本:2017年5月 ポプラ社刊
上下巻二つ分かれていますので、購入の際はご注意ください!!

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