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自殺討論会で若者代表してきた

自分には生きている資格がない。
生きていてもしょうがない。
死にたい。
死なせてください。
なぜ、死んだらいけないのですか。
死んでも誰も悲しまない。
死んでも誰にも迷惑をかけない。
毎日が苦しい。
苦しくて、生きていけない。
こんなに苦しいのに、なぜ生き続けなければ、ならないのですか?
このような叫び声にあなたはなんと答えますか?
~映画「曙光」より~

・映画「曙光」を見て

曙光は、ヒロインの文絵さん(役:黒沢あすかさん)が自殺志願者を救助し、一緒に暮らしていく模様を描いた作品だ。
これは半分フィクションで、半分フィクションではない。
というのも、実際に白浜レスキューネットワークの藤藪庸一さんという人の活動をモデルにし、度重なる取材から作られたものであるから、自殺救助に携わっている人の視点で見るとこの作品は非常にリアルだという。

一見穏やかにも見える住人達の暮らしと、次々と現れる自殺志願者の救助に向かう文絵さんたち、今後の人生に対する住人たちの葛藤。
そういったものが詰まった作品だった。

救助をしていく中で、いたずらやクレームの電話も文絵さんのもとに届く。
そこでどうして自殺志願者を助けるのか、厳しい問いが突きつけられる。
彼女自身、気が狂いそうになりながら身を削って救助活動をしている様を見ていると、「文絵さん、あなたが死んでしまうよ」と言ってしまいたくなるほど責任感の塊で、スーパーマンすぎる働きっぷりなのだ。
見ているこっちが心配になってくる。

ただ、このぐらいして自殺を食い止める義務があるんだぞという、押しつけのようなメッセージを監督が送りたかったかと言えば、そうでもないとは思う。
このぐらい振り切ったヒロインがいることで、より自殺志願者と救助する人が際立ち、自殺に対するメッセージ性が高まっていたのだろう。

話しを戻すと、スーパーマン文絵さんが彼らを一度は救えても、やはり生きていくことは辛いことが多いのだという残酷な現実が突きつけられる。
自分と同じ境遇の人がいる、自分は一人じゃない、こんな自分でも愛してくれる人がいる、ということに感化されてその後の人生を一生懸命に生きる。
そんなドラマみたいなサクセスストーリーは現実には存在しないのだ。あまりにも残酷な話だが。

様々な人が集まり生活する中で、そこで上手くいかなくて出て行ってしまう人や再度自殺の道を選んでしまう人、その中で芽生える恋があったり、
その家に住むことで学校でいじめをうけてしまう子供がいたり。

全てを紹介するとネタバレになってしまうので伏せておくが、本当に様々な出来事が起きる。
ラストも後味がいいわけではない。
そこには人間の喜怒哀楽が詰まっていて、生きていればいいことあるよ、なんて陳腐な言葉じゃ片付けられない、そんな生々しい人間模様。

この活動はとても素晴らしいものだし、あと一歩のところの人を踏みとどまらせるには、今のところ、このような活動のほかには最適な方法はないのかなと思う。
しかし、そもそもこうなる前になんとかしたい。しなければならない。
自殺という選択を選んでしまう前に、やれるべきことはたくさんあるはずなのだ。

・その後のシンポジウムにて

映画を見た後、シンポジウムということで自分含めたコメンテーター4人がコメントをする時間が与えられた。
その中で特に印象に残ったのが住職の篠原さんのお話だった。

篠原さんもまた、作中の文絵さんと同じく自殺志願者を助けているお方だ。
電話がかかってきては話を聞き、数多くの自殺を食い止めてきた。
本の執筆も手掛けているそうで、代表作に「もしもし、生きてていいですか?」がある。

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そして、篠原さんの話で最も興味深かったのが、自殺救助をする上で心掛けていることと、何故死んではいけないのか?に対する意見、この二つだ。

自殺救助というと、命と向き合うから関係者はそれだけ真剣に、重たい空気と責任を常に背負っているような人たちばかりというイメージがつきやすい。自分もそう思っていた。だから誰も関わりたがらない領域なのだと。
しかし、篠原さん曰く現場はそうでもなく、意外と明るく活動しているらしいのだ。
「今月は自殺者多いねー!困ったもんだよー!」といった具合で、同じ界隈の人と電話をしていたりするらしい。
さらに心の救いなのは、夜22時以降はホットライン用携帯の電源を切って早々と寝てしまうらしい。
作中の、1人で24時間電話の前に座り続けている文絵さんとは大違いだ。
何よりも自分が壊れてしまってはいけない。この考えがしっかり根底にあるらしい。
当たり前のようで、他人のために自分を犠牲にしがちな日本人はなかなか出来ないことだろう。

そして、何故死んではいけないのか?という問いに対して皆さんは何と答えるだろうか。
自分は、「死んだらそこまでだけど、生きていたら楽しいこともたくさんあるだろうし、とりあえず生きてみたほうがお得感ありそう。」ぐらいの意見しか出せない。
一度これを言ったら友人から、「今まで良い人生歩んできたんだな」って言われてしまって何も言えなかったほどだ。
それぐらい良い答え方が分からない。
それに対し、篠原さんは「命は授かりものだから、あなただけの命ではない。だから死んではダメなんだ。」と言い切る。
なんとまあお坊さん的な回答なんだと思ったが、確かにそのぐらい生命って神秘的で尊いものだよな、と。
そういえばこの前、赤ちゃんが生まれた。職場の男性の人の話である。
生まれたての赤ちゃんの写真と共に男性陣に対して出産の立ち合いの重要性を説いていたが、まさに生命の誕生の素晴らしさを目の当たりにしたのだと思う。
考えてみれば、いきなり何もない所から自分が出てきて育ってきたわけがない。
ずーっと昔から遺伝子が受け継がれてきた両親が出会い、恋に落ちて子供を授かり女性がお腹を痛めてやっと生命が誕生する。
さらには環境はどうあれ様々な人と関わり合いながら成長してきて、自分だけの命だなんておこがましいよなあと。

まあそんなことを逐一念頭に置いてる人なんていないと思うが、せめて死ぬ前に一度考え直してみよう。
現状が辛いなら、別の場所に逃げてみよう。選択肢は思っている以上にある。
そんな話と承認欲求について、自分は若者代表として発言させていただいた。
価値観が多様化・変化しつつある若者について少しでも伝えられていればいいなと思う。

・まとめ

ということで、長々と書き綴ってしまいましたが、結局のところ本当に良い映画なのと良い経験ができた、ということですね。
取材も受けて、若者の声ということで新聞にも載せるとも言っていたのだけれど、どこに載るのかはよくわからず…。
自分の名前を見つけたら、ご一報くださいませ(笑)

そんな、メッセージ性の強い映画「曙光」(監督・坂口香津美/主演・黒沢あすか)は、10月6日よりアップリンク渋谷にて公開予定です。
この記事が「曙光」を見る人のきっかけや、日本社会の自殺についてちょっとでも考えるきっかけになってくれたら、それほど嬉しいものはありません!

ここまで読んでくれて、本当に、ありがとうございました!

・おまけ~そのまた後の打ち上げにて~

歳がだいぶ離れている方ばかり(失礼)の打ち上げだったので、どういう感じになるのか予想がつかなかったのですが、面白い方ばかりだったので参加させていただきました。

いろんな繋がりができて、濃いお話がたくさん聞けました。
宇宙事業と音楽のお仕事をダブルワークでやっている方とか、おもろい人をたくさん集めてイベント開いてる傍らで化粧品も開発している方とか、「曙光」の撮影地となった場所出身の方々とか…。

あーゆー場って、慣れないと気を遣って疲れるばかりだから気乗りしないけど、慣れてしまえば大きい収穫があったりしやすいのよね。
その考えにシフトしてしまった今、初めましての人と会う頻度がかなり多く、毎日が新鮮です。楽しくやれてます。
人見知りの人は苦痛かもしれませんが、安心してください。自分も最初は極度の人見知りでした。

ということで、この辺で!
ではでは!

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