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いおり奥様ストーリー③

 案の定、仕事が長引いた。休日出勤確定である。
 俺はスマホを取り出し、妻に連絡する。
『ごめん、明日仕事になった』
 明日は特に用事もなかったはず。
俺が休日出勤になっても問題ないだろう。どうせスタンプ一つの返事が来るだけだ。
 俺はそう思っていたが、俺が連絡してすぐ既読が付き、妻から電話がかかってきた。
「仕事ってどういうこと!? 休みじゃないの?」
 電話に出ると、開口一番に文句を言われた。
 俺は今日中に仕事が終わらず、残ったものを明日やらなくてはいけなくなったと妻に説明した。
「明日、亜里沙と悟をあんたに預けて、ママ友とお出かけしたかったのに」
「留守番させればいいだろ。二人とも小学生なんだから」
「できないわよ! 朝食はまだしも昼ご飯はどうするの?」
「朝に出前を予約すればいいだろ。出来ないんだったら俺がやる」
「あっそ。じゃ」
 電話が切れた。
 妻は自分の予定が崩れることが大嫌いだ。
妻は俺が明日休みであると想定して、ママ友と出掛けようと計画していたらしい。そこに俺の休日出勤の連絡がきたら、彼女の性格上、電話をかけてくるだろうなあ。
 計画を立てるのが好きなのはいいが、一つでも予定が崩れると怒り出す癖、何とかしてくれないかな。

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