あやな奥様ストーリー【1】
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農家って聞くと、おおらかで穏やかで優しい爺さん婆さんを想像するかもしれないけれど、実際は割と何かと排他的で気難しい人の方が多い。
少なくとも、自分の周りで農家をやってる人は皆そうだった。
五十代の自分でさえ、その人たちに比べれば新参者であり、こっちが兼業であることもあってどこか侮られている節があった。
悪気はなくてもやたらと干渉してくる人も多く、よく都会でいう「都会の喧騒に疲れたら、田舎でのんびり農業でも営んで自由に生きよう!」なんて文言には苦笑いしか浮かばない。