マガジンのカバー画像

106
運営しているクリエイター

#秋

詩 きらきら

詩 きらきら

思い出せるよ
地下に向かって行く電車
斜陽が照らす
秋の色

揺れる制服のスカート
シワを気にしながら
イヤホンから流れる
あの曲が包んでいた

一瞬を
いつまでも
忘れずにいる
私の学生時代
あの日の朝に
宝物みたいに
閉じ込められている

きらきらは
永遠に
きらきらしてる
瞳の中の
一色となり

詩 笑顔の温度

詩 笑顔の温度

世の中が暖色に
衣替えする季節
記憶の中で
シャカシャカと鳴る
木の葉の音

昼夜の寒暖差
建物恋しく
目指す足取りはやく

さあ帰ろうと
風に吹かれて
家路を急ぐ

俯きがちな季節の中
ひとつだけ
確かにあった
温もりに満ちたそれは

あの日くれたカイロよりも
ずーっと長く
温かいまま

思い出すと
心がほんのり
あったかくなる
あの子の笑顔

詩 秋の迷い子

詩 秋の迷い子

ひんやりした窓に
頬を当てて
秋を感じる

秋になっていてもいいから
気持ちだけでも夏に置いていかせてと
季節に無理なお願いをする

あの日に帰りたいとか
はやく時が経って欲しいとか
子どもに戻りたいとか
もっと大人になりたいとか

月日の流れは
止められず
私の気持ちの流れとは
なかなか噛み合わない時のなか

季節に縋りたい気持ちを
手放して
早く秋に追いつかなきゃ
その先に待つ冬にも
備えなき

もっとみる