ガネーシャの試練:黄金の檻から飛び出した王子【ショートストーリー】
富の神ガネーシャの息子、シュリは、まさに「金の匙をくわえて生まれた」王子だった。煌びやかな宮殿、山海の珍味、美しい踊り子たち…欲しいものは何でも手に入り、退屈とは無縁の、誰もが羨む暮らし。
しかし、シュリの心はなぜか満たされていなかった。宝石の輝きにも、美食の味わいにも、喜びは薄く、空虚感だけが募っていく。「僕は…一体何のために生きているんだろう?」
そんなシュリの心の迷いを察知したガネーシャは、ある日、息子を呼び出した。
「シュリよ、お前には試練を与えよう。真の富の意味を知る旅に出るのだ。」
ガネーシャの言葉に、シュリは驚きながらも、心の奥底で微かな期待を感じた。もしかしたら、この旅が、自分の空虚感を埋める鍵になるかもしれない…。
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