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卵ごはんと砂糖

 自分一人だけの昼食。家で食べることになったとき、わざわざ料理したいとは思わない。食べてきたり、食べたいものを買ってきたりで済ませる。そうでないときは、卵かけご飯で済ませることが多い。
 正式な呼び方は知らないが、「たまごごはん」と呼んでいる。小さい頃、祖母がすぐ作れるから、とよく作ってくれたらしい。喜んで食べていたようで、今も好きなのは祖母の影響のようだ。
 卵とごはん、醤油だけでいいのだが、鰹節があれば入れる。ごはんの上から掛けるのではなくて、先に卵を茶碗に割り入れて醤油も入れて混ぜてから、ご飯を入れる。それから、また混ぜて食べるのだ。インスタントの味噌汁や、漬物があれば一緒に食べる。ごはんが好きなので、あっという間になくなる。
 昔食べていたのも同じだと思っていたが、醤油だけの味ではなかったようだった。祖母は、甘い方が喜ぶと思って砂糖も入れていたのだと言っていた。忙しくしている祖母だったので、ごはんも手早いのが好きだった。きっと、食べているときジャリジャリしたと思う。戦争を経験した祖母は、砂糖はとても貴重だったと話していた。砂糖を安く買える時は買い込み、お正月に母方の実家に行く時の贈答の品として、砂糖を幾袋か箱につめて、包装紙で包んでいた記憶がある。母は、ごはんに砂糖を入れるなんて、と言っていたが、孫に自分が子供の頃は食べられなかった砂糖を味わせたいと思ったのかもしれない。
 卵ごはんを食べていると、祖母を思い出す。大事にされていた記憶が、その食べ物につまっているのだと感じる。

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