脚を切断した先輩との思い出、とはしたくないから
「環、キャッチボールしよう」
「う、うん」
まさくんは、私にとって少し怖い先輩だった。
私は小学校の入学とともに、4つ上の兄と同じ少年野球チームに入った。兄達の代は強く、リーグ戦ではあと一勝で優勝というところまで登り詰めていた。兄がレギュラーを勝ち取っていたこともあり、私も鼻を高くしながら練習に参加していた。
兄達が6年生になった時、まさくんだけが唯一、5年生なのにレギュラーに入っていた。がっしりとした大きな体格をしていて打撃センスもある。キャッチャーとして兄達の代の中で