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環のストーリー

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生きる姿を、音楽と。環のストーリーを紹介します。
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記事一覧

もしかしてあなたも怒っている?

「Hi, I'm Tamaki」 菊川の映画館でそう話しかけると、白人男性の目が輝く。 「You really com…

練馬ICを降りて道を間違える

東京で車を運転するのが苦手だ。異様に多い車の数、それゆえに極端に狭い車間距離。車線は3も4…

初めて行ったクラブは渋谷だった

大学生の頃、初めてクラブというものに行った。クラブのイメージといえば、大音量で音楽が流れ…

新宿5丁目で第二の故郷を感じる

地元が東京だと告げると、東京以外の出身の人からは「いいな」とうらやましがられることが多い…

中井駅のエスカレーターで振り返った君は

高校3年生は受験勉強一色だった。進学校にいっていた私は、周りの95%くらいが大学進学を希望…

代々木上原で心が開けない

代々木上原にある書店でアルバイトをしていたことがある。店長は穏やかで良い人だし、アルバイ…

下高井戸での違和感は私のアラーム?

声が大きいなと思った。 下高井戸駅の本屋で待っていると、吉田くんが若干の汗を滲ませながら「遅くなりました」とはにかんだ。時間に遅れたことは本当にどうでもよかったものの、なぜこんなにも本屋で声が大きいのだろうと少しひっかかった。 それから下高井戸駅の周りを散策して、カレー屋さんへ行く。クラフトビールを飲みながら、仕事やジェンダーのことに話が進む。同じソースから情報を得ていることや、大切にしたい考え方が似ていることがあいまって、話は滞りなく流れていった。喫茶店に移ってからも話は

夏の夜に落合のコンビニで

夏は夜だと思っている。暑さが和らいだ中で、風が吹けばさらに良い。 こう思うようになった原…

原宿に親戚でもいたっけ?

大学生の頃、なかなかアルバイトが決まらなかった。理由は明白で、大学の体育会系の部活に入っ…

さらば! 椎名町の隣人よ

私には密かに好きな隣人がいた。それがマンションの大家さんである松本さんだった。年齢は70歳…

西新宿の夜が明ける

引っ越すことになった。例によってまた転職をするのだ。しかも前に勤めていた会社に戻る。なか…

中野のコンビニで笑顔がひきつる

「坂本くん〜〜〜!いいわね、あんた本当にいい笑顔」 純二店長は、まるで甥っ子や姪っ子でも…

自由が丘で藤井隆(さん)のパーカー

私のテーマソングの一つに、藤井隆が椿鬼奴とレイザーラモンRGと一緒に歌うkappo!がある。なぜ…

世田谷の道に置いてきた

二股に分かれた道だった。敦は私が後ろから追いかけてくると思っていただろう。だけど私は、敦が進んだ左の道へは行かず、右へ行った。敦の方を見ることもなかったし、気にすることもなかった。初めて自覚的に人との縁を切った瞬間だった。 2010年春、私は大学生になった。勉強も遊びも充実させたいと思っていた自分にとって、大学はさまざまなチャンスや情報が転がっているように感じられ、胸が躍るとはこういうことなのかと思った。ただ、蓋を開けてみると、そこにはマイナスな雰囲気も一定あって、特に同級