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俳句・句集

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句集や季刊誌の紹介など。
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#おすすめ本

句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読む。

句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読む。

句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読みました。

この句集についての雑談。

タイトルに惹かれて購入して読んだところ、見覚えがある俳句がちらほらあり
「どこで見たのかな」
と考えていました。

すると手元にある
『天の川銀河発電所』
という現代俳句のアンソロジーの本で紹介されていて
「ここか!」
と納得しました。

五句選

チョコでもココアでもなく、高級感のある「ショコラ」です。

消しゴムを大切に

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本紹介『現代俳句女流百人』

本紹介『現代俳句女流百人』

以前
『現代俳句女流百人』
の本を手に入れた。

読後に本棚の飾りにしていたのだが、
簡単に紹介したい。

本の思い出と雑談。

神田神保町の古本市で300円で買った。

この本はずっと紹介したかったが、
後回しにしていた。

なぜなら、「女流」という言い回しが
ジェンダー問題に抵触して
下手したら炎上するんじゃないかと
心配だったからだ。

Amazonで販売しているものは
文庫本だが、
手元に

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『木の椅子』黒田杏子第一句集を読む。

『木の椅子』黒田杏子第一句集を読む。

先日、俳人の黒田杏子さんが亡くなられた。

※関連ニュース(Twitterより)

偶然、手元に
黒田杏子第一句集
『木の椅子』
の増補新装版がある。

ここから五句選で紹介したい。

代表作としてよく引用される句。

「ひかりの棒」という魅力的な比喩、
「いま刻む」の臨場感など
代表句とされる理由が分かる。

池の亀を見ると一つの石にたくさん亀が載っている光景を見かける。

それは亀なりの執着か

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『青き方舟』(山田牧)を読む。

『青き方舟』(山田牧)を読む。

喫茶店を経営し俳句を嗜む作者の第二句集から、感銘句を五句紹介。

鳩時計に内蔵されている鳩の人形が寝坊したかのようでユーモラス。

花火の観客に注目した点にひねりがある。
その上、観客と明記せず「眼の集ふ」とした点が更なるひねり。
二重のひねりに工夫の跡が見られる句。

ばったの小ささと、地球の大きさの対比がダイナミック。

空気を入れると膨らむプールだと読んだ。
空気を入れた状態だと一個だが、空

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飯田マユミ句集『沈黙の函』ー光景と共感ー

飯田マユミ句集『沈黙の函』ー光景と共感ー

この句集は
・光景が面白い句
・読むと感覚が蘇る句
が多いと感じた。

そんな
飯田マユミ氏の句集『沈黙の函』
から五句紹介。

リフレインが効いていて、躍動感がある。

納得と共感をした。

こういった作者独特の発見の句は読者としては楽しい。

俳句という短い詩形で、広い空間が表現されている。

やわらかい柿をうっかり踏んだ時の、ぐにゃっとした不快感を巧みな比喩で表現している。

木と人の寿命の

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