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『木の椅子』黒田杏子第一句集を読む。

先日、俳人の黒田杏子さんが亡くなられた。




※関連ニュース(Twitterより)



偶然、手元に
黒田杏子第一句集
『木の椅子』
の増補新装版がある。

ここから五句選で紹介したい。


白葱のひかりの棒をいま刻む
40ページ

代表作としてよく引用される句。

「ひかりの棒」という魅力的な比喩
「いま刻む」の臨場感など
代表句とされる理由が分かる。


亀の子のみなその石に執着す
47ページ


池の亀を見ると一つの石にたくさん亀が載っている光景を見かける。

それは亀なりの執着かもと納得の句。


鈴鴨のかぞへ切れずにまぶしき日
95ページ


のどかな風景で、
池のほとりの日向ぼっこのようだ。

鈴鴨もたくさんいて、程よく賑やかで
「まぶしき日」の結句が輝く

※鈴鴨(Wikipedia)


柚子湯してけふとあしたの間かな
96ページ

※間に「あはひ」とルビあり。

柚子湯の気持ちよさや、
柚子湯に入るであろう時間帯が
上手く読み込まれている。

柚子湯をする心のゆとりがあるからこそ、時間のあわいを楽しめるのではないかと思った。

旅人の一歩を入れて山眠る
102ページ

「旅人の一歩」という
ピンポイントな近景から、
「山眠る」で山の全景になり
映像の変化の面白さがある。



【まとめ】

面白いと思った句にたくさん付箋した。
その中で、
鑑賞文が書きやすいもの中心の紹介になった。


取り上げ切れなかったが
説明が難しいが、いい雰囲気の句や
読む人によって景の捉え方が変わりそうな面白い句もあった。

追悼かつ
俳句の勉強になる
一冊。

第一句集『木の椅子』増補新装版 https://amzn.asia/d/cyZ7mKm

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