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「皆の来年の抱負」「難しい目標の注意点」「ウェルビーイングを高める目標」【科学的に正しい新年の抱負の立て方#2】

前回は、2022年のスタートダッシュを成功するにあたって重要になる「フレッシュスタート効果」の話をしましたが、今回はその続きで、目標設定に役立ちそうな研究をいくつか紹介していきたいと思いまーす。


みんなの2022年の目標を覗いてみよう!

まず手始めに、最近出てた米国人を対象にした調査(R)をチェックしてみますと、皆さま2022年には以下のような目標を設定する予定とのこと。

  • もっと運動する(22%)

  • より健康的な食事をする(25%)

  • セルフケアに力を入れる(22%)

  • 体重を減らす(20%)

  • 新しいダイエットやプログラムを始める(17%)

って感じで、まあ毎度おなじみの目標ばかりっすね。

そんでこの調査で特に面白かったのが、以下のようなポイントであります。

  • 回答者の64%が「新しい年になれば新しい自分になれると思う」と回答した

  • 新年の目標を立てる予定の人のうち、32%が「自分が設定する目標を守れるかどうか甚だ疑問だ」と回答した

ってところ。つまり、多くの人が毎年同じような目標を立てているという現実を差し置いて、ただ2021年が2022年になるだけで生まれ変われると思っている。また、目標を立てるつもりの人でさえその3分の1はすでに目標を達成できる自信を失っているんだ、と。

なんだかむなしい話っすねー。まー、それだけ「新年」ってやつが輝かしいものに見えて何をするにしてもいけそうな気がする一方、そううまくはいかないこともうすうすわかっているってことなのかもしれんですな。とはいえ正しい目標設定の仕方と目標遂行の方法(来月配信予定)を知っていれば目標達成率は確実に上げられるはずなんで、「なんか行けそう」っていう根拠のない自信に頼るだけでなく、やれることを愚直に実践するしかないっすね。


難しめの目標を設定するときの注意点

目標を設定するときには、楽勝でクリアできるレベルのものよりもちょっと背伸びしたくらいのレベルのものにした方が成功率が上がる!ってのはよく知られているところ。長期的にモチベーションを維持するためには、ワクワクする部分と適量のストレスを感じる部分のバランスが大事なわけですね。

とはいえ、多くの人は将来の自分を過信し、高すぎる目標を設定してしまうもの。

そこで、オハイオ州立大学などの研究(R)では、この点に関して面白い知見を提示してくれております。

これは、162人の大学生を対象に行われた実験で、デザインを簡単に紹介すると、

  • PC画面の表示に合わせて手を動かす課題に2回挑戦してもらう

  • 各課題に取り組む前後で、全員に対して「次の課題の目標スコアはどのくらいですか?」「何か戦略はありますか?それは具体的にはどんなものですか?」ってな質問をする

みたいになります。目標の難易度や具体性なんかがどのくらい認知課題のパフォーマンスに影響するのかを調べたわけですな。

でもって、結果はこんな風になりました。

  • 事前の課題のスコアを調整した後でも、設定した目標の高さとパフォーマンスの高さには有意にポジティブな関係が認められた

  • より具体的な範囲に目標を設定した人は、課題のスコアが高く、実際のスコアと目標のスコアとの乖離が小さかった

  • 目標の具体性と目標の高さとの間には負の関係が認められた。つまり、高い目標を立てた人ほど目標が曖昧になり、具体的な目標を立てた人は目標が低めになる傾向があった

ってことで、目標の困難性と具体性は両方ともパフォーマンスを向上させるけど、片方のパラメータを上げようとするともう片方は下がってしまいがちみたい。研究チーム曰く、「人は難しい目標を設定するとき、具体性を下げることで目標を「はぐらかす」傾向がある」とのこと。

あらかじめ目標の範囲を拡大することで、失敗したという事実を回避しようとしてしまうというわけっすね。

確かに、高い目標を立ててる人の戦略を聞いてると、たいそうなことを言ってそうだけど中身をよく聞くと単に「とにかく頑張る」くらいのことしか言ってないこともありますからねー。てなわけで、特に難易度の高い目標を設定するときには、具体性が損なわれていないか、くれぐれもご注意くださいませ。


将来の幸福度を高める目標の2つの要素とは?

適切な目標を立てれば目標の達成率は高めることができるわけですが、それと「幸福度」の関係は別問題。つまり、いくら高い目標を達成できたとしてもそれが「幸せ」につながるとは限らないわけです。

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