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科学的に正しい【新年の抱負】の立て方

早いもので2021年も残るところあとわずか。皆さま今年は満足のいく1年を過ごせましたでしょうか?

2021年の目標達成の状況を調べたエディスコーワン大学などの調査(R)によりますと、なんと、

  • 3人に2人が1月31日までに新年の抱負を挫折していた!

ってなことが報告されております。別の調査によれば、新年の抱負の80%は2月の第2週までに挫折してしまい、年末にもなるとほとんどの人が「新年の抱負」を覚えてすらいなかった、なんてデータもあったりします。

いかに「新年の抱負」とやらを達成するのが難しいかがよくわかりますな。

とはいえ、当然ながら「目標を立てても意味なんてない!」といいたいわけではありませんで、事実、事前に目標を設定していた人の方が幸福かつ生産的な日々を過ごせるというのは昔から確認されているわけです。

ではなぜそこまで目標の達成率が低いのかといえば、大きく分けて以下の2つの原因が考えられるでしょう。

  1.  そもそも目標達成なんてそう簡単にクリアできるものじゃない

  2.  目標・ゴールの設定の仕方が間違っている

つまり、減量するにしても副業で収入を上げるにしても、目標として設定するくらいなんだからそう簡単にクリアできるものではなく、多くの人が失敗に終わってしまっても無理はない。でもその中でも目標達成に成功している人は必ず存在するわけで、彼らは大半の人とは異なった方法で目標を設定しているのでは?ってことです。

ってことで今回は、現時点で科学的に正しいと思われる「新年の抱負・目標設定方法」をまとめてみようかと思います。

巷にあふれてる、「出来るだけでっかい目標を立てよう!」「理想の姿をイメージしよう!」「去年できなかったことをできるようにしよう!」といったアドバイスの効果がいかに小さいかってのは最初に紹介したデータを見れば明らかでしょう。

一方以下で取り上げるテクニックは、それなりに科学的な根拠が認められているものなんで、実践すれば経験則に頼るよりも新年の目標を達成できるようになる可能性はかなり高め。気になるものだけでも選んでお試しくださいませ。


1.そもそも「新年の抱負」なんて設定する必要はあるのか?「フレッシュスタート効果」でGO!

上でも述べた通り、新年には世界中で多くの人が一斉に様々な目標を立てる一方、年末にもなればそのうちの大半が「目標を達成できなかったと落ち込む」または「そもそも今年の目標を覚えていない」に分類されるわけです。

となれば、いっそのこと新年だからと言って目標を設定する必要はないのでは?と考えるのも自然の流れでしょう。

が、ペンシルベニア大学の研究(R)では、

  • 「新年」という貴重なイベントを利用してやらない手はない!

って結論しております。というのも、「1年の始まり」というポイントにおいて、人は去年までの失敗や後悔をいったん忘れて、ポジティブなセルフイメージに切り替えたうえで、本当に自分がやりたいことを真剣に考えることができるらしいんですよ。

研究チームはこの現象を「フレッシュスタート効果」と呼んでおりまして、具体的な目標の立て方云々はおいておいて、新年という区切りのいいタイミングは前を向いて新しいゴールを模索するモチベーションが高まる時期としてはもってこいなのだ!と。

確かに経験的にも、普段の特に何もない平日に「今日から1年間の目標を立てるぞ!」とはなりにくいですが、元旦や誕生日の前後になると毎年のように「どんな一年間にしたいだろうか?」などと考えるのはよくわかりますねぇ。

で、この研究は3つのフィールド調査から構成されておりまして、簡単な実験の内容を説明しておくと、

  • 日付によって”diet”という単語が検索される量がどのくらい変わるかというトラフィックを分析する(食生活への関心が高まるタイミングの指標になる)

  • 大学のジムの利用者数や利用時間を調べて、日付や利用者の誕生日と比較する(実際に行動に移す量の指標になる)

  • 目標を設定し、クリアできなかったら一定額を募金するという契約を結ぶウェブサイトで、契約(目標設定)の件数が日付や利用者の誕生日によってどのくらい変動するかを調べる

って感じで、年はじめ、月初め、祝日、誕生日といった切りのいいタイミングの直後では目標について考え、設定し、実際に行動に移す人が増えるのでは?という仮説を検証したわけです。

その結果を列挙すると、

  • “diet”の検索数は週始め、月始め、年始め、祝日に多くなり、日が経つにつれてその検索数はどんどん減っていく傾向が見られた。年始と年末の検索数の違いを、New York Times誌に食事関連の記事が掲載された前後の検索数の違いと比較すると、年始の効果の方が10倍以上高かった(つまり、New York Timesに記事が掲載されると”diet”の検索数が3.51ポイント上昇した一方、年末に比べて年始の検索数は41.91ポイントも高くなっていた)。


  • ジムに来る回数は、週始め、月初め、年始めに多くなり、その後は減少していく傾向があった。また、開講日や新学期の初日、誕生日といった個人的なイベントの直後にもジムを訪れる回数や滞在時間が多くなった


  • 減量や運動だけでなく、貯金や早起き、人間関係、キャリア、教育といった幅広い対象の目標に関しても、週始め、月始め、年始め、祝日、誕生日の直後には多く設定される傾向が見られた。ABCニュースに当ウェブサイトを特集した記事が発表された前後と比較しても、年始の目標設定率の上昇効果の方が6倍以上高かった

って感じだったそうな。要するに、暦でも個人的な行事でもちょうどいいランドマークがあると新しい目標を設定し、行動を起こすモチベーションが高まる。そしてその効果が最も顕著にみられるイベントの一つが「新年の始まり」のタイミングであるというわけっすね。


研究チーム曰く、

人々は、自動的にやってくるカレンダー上のランドマークによってフレッシュスタートのモチベーションを高められるのみならず、戦略的に、自らターニングポイントを「創造」することでフレッシュスタート効果の恩恵を受けることもできる。

とのこと。もちろん新年や誕生日のような一定期間待てば勝手にやってくるタイミングでも目標を立てるモチベーションは高まるけど、周囲の環境をガラッと変えてみたりするだけでも新しいゴールを追求したくなるから、フレッシュスタート効果は使おうと思えばいつでも使えるのだ、と。実際、ほかの研究では特に何も特別な意味のない日を「季節が移り替わる大事な日」と認識するだけで目標達成率が上がった、なんて話もあって、要はいかにフレーミングをするかが大事なのだってことっすね。

そんなわけで、モチベーションアップの観点からすると新年は最高のタイミングといえるでしょう。まあ、複数のデータを見る限り、フレッシュスタート効果はほんの数日くらいしか続かない可能性が高そうなんで、できれば三箇日の間くらいには新年の目標を考える時間を設けていただくといいんじゃないかと(そのためにちょっと早めにこの記事を書いておきました)。


2.【フレッシュスタート効果の罠】新年の抱負を立てるとむしろパフォーマンスが下がる人の特徴?

上述の通り、フレッシュスタート効果ってのは、

  • 心理的なリセットボタンを押すタイミングを設けることで前進するモチベーションが爆上がりする!

ってな話でありまして、追試でも同様の現象は複数確認されているんですが、この心機一転が裏目に出る場合というのがわかっているんですよ。

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