世界中にいる約100億人分のひとりだから…青で表現 「青の世界を音楽と美術の方向から感じとる」ギャラリートーク レポート
沖縄県内でも、沖縄らしさをテーマに、また自分なりに考えられたコンセプトでつくられたギャラリーや展示会が開催されています。
さて、7月13日から15日まで続く鈴木郁子さん主催の「Deep Blue Forest」について。
7月14日に、東京藝術大学の同級生である沖縄県立芸術大学の高崎賀朗さん、ご友人の高瀬澄子さんが聞き手となりギャラリートークとして展示会のコンセプトについて語りました。
「世界中にいる約100億人分のひとりだから、海について考えたい」
Deep Blue Forestでは、果てしなく広がる青の世界を表現しました。そのインスタレーション(現代美術における表現手法)として、会場の奥にならぶ物質の数々に映る映像たち。
映像はあえて自分でつくらず、BBC #OurBluePlanet の映像を重ねて青い海を表現。
鈴木:
「BBC #OurBluePlanet では、So we’ve got this idea about getting 1 billion people talking about our oceans. つまり、世界中に住む100億人のひとりだから、海について考えていこうを伝えています。
わたしも、沖縄にきて、豊かな自然とともに、海に囲まれた島だからこそ映像からメッセージを伝えたかったんです。
「沖縄に来てから、作品のカラーが変わったよね」循環を表現したコンセプト
*高瀬澄子さん(左)、高崎賀朗さん(右)
学生時代をよく知る高崎さんから、今回のコンセプトカラーである青について、「当時、グレーを使ったインスタレーションが多かったけど、どうして青にしたの?」と聞きます。
鈴木:
「学生時代は悲惨なニュースが多く、必然的にグレーとなることが多かったかも。とはいえ、沖縄に来て15年が経ち…
朝焼けや夕焼け、海の青さ、色彩の豊かさを自然に教授してきたと思いますね。
おきなわダイアログの壁面には、ギャラリー作品として生物を中心に描いた油絵を展示。そこでは、循環をテーマに表現していると鈴木さんは言います。
鈴木:
インスタレーションでは物質から始まり、油絵でつかって色の3原色、描いた生物、沖縄の自然とすべて循環していくことを伝えています。
私自身も沖縄にいることも、旅の途中だと思っていて、これから旅する循環が生まれてくるんじゃないかと楽しみなんです。
「今ここにいる感覚と体験が大事」これからの行く末について
鈴木さんは、3日間のDeep Blue Forestを終えたら、展示しているインスタレーションは壊すと言います。会場に来てくださった15名からは「そのまま他でも展示してほしい」とリクエストがあがるほどの作品をなぜ?
鈴木:
わたしとみなさん、今ここにいる感覚と体験が何よりも大事だと思います。
そして、これまで制作に時間をかけ、会場設営だけでも約8時間かけてつくったインスタレーションを壊すことで、わたしは新しい表現や創造性が生まれてくると信じているんです。
ギャラリートークを通して、鈴木さんの過去を始めて知ったという人もいるほど、プライベートなおはなしから作品のコンセプトまで。
ざっくばらんに約1時間のトークセッションの最後、会場の電気を消して、「Deep Blue Forest × BBC #OurBluePlanet 」を楽しんだひとときは参加者にとっても、新しい視点を生み出すきっかけになったに違いありません。
編集記:
今回、会場に来てくださった鈴木さんの娘さんからひとこと「美しい」と。そう伝えられたことが作品をうまく表現されたなと感じました。
インスタレーションの創り方から、過去の油絵作品をシロアリに食べられたおはなしなど、笑いも起きる時間を共に提供してくださった鈴木さん、高崎賀朗さん、高瀬澄子さん、そして会場にお越しくださったみなさん、ありがとうございました。
主催:鈴木郁子さん
会場:おきなわダイアログ
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