態度変容や環境さえを変える UXデザインってなに? プロダクトが与える「経験」からユーザー体験と価値を生むために レポート
2019年は、キャッシュレス決済や完全自動運転がITトレンドと言われるように、昨今は技術革新がすざましく、テクノロジーが浸透した現代に生きる私たち。
プロダクトのスペックや見た目の良さだけではもはやプロダクトの価値を提供することが難しくなってきました。
それに伴いプロダクトのUX (User Experience=ユーザーの経験) デザインが重要視されるようになってきました。
7月3日に、Senspoint Design Inc. の大見謝若菜さんをお招きして「UXデザインってなに? プロダクトが与える「経験」からユーザー体験と価値を生むために」を開催しました。
そもそも、UXデザインってなに?
はじめ、大見謝さんから、飛行機の移動における「不」に対するUXデザイン事例を解説してもらいました。
大見謝:
海外の航空会社では、移動時間に比べて荷物の受け取りで待機時間が長く、大きな課題となっていました。
そもそも、ユーザーの手持ち無沙汰がペインでしたので、航空会社は移動時間を長くして、荷物の受け取りの時間を短縮。その結果、ユーザー満足度が飛躍的にあがりました。
こうした、目の前の課題を実直に取り組むではなく、ユーザーのペインをきちんと捉えて、ビヘイビアを変えることがUXデザインでの考え方のひとつです。
UXデザインでの成功は「シナリオを決めて、想像通りに行われること」
続いて、UXデザインでの成功について大見謝さんから伝えられます。UXデザインに関して様々な解釈はありますが、「まず、シナリオを決めること」と言います。
大見謝:
製品やアプリ、どんな事象や物であっても、カスタマーのユーザー体験を想像して、どのタイミングで、どうやって、どんなタッチポイントをつくるのかを考えます。
実際に、シナリオ通りに進んだらUXデザインでは成功といえます。では、実際のアプリや製品で考えてみましょう!
新幹線や電子マネー、Netflix、tinderなどを事例としてあげて、参加者からユーザー体験を伺っていきます。
受講生:
わたしは「tinder」をつかってみて驚いたことがあります。他の出会い系アプリでは、会員登録がまず面倒で笑
tinderでは、スワイプするだけで済みますので、ゲーム感覚で何時間も使えてしまうんです。
ここで、大見謝さんがタッチポイントとしてあげられたのは、ゲーム感覚で何時間も使えること。
Facebook創業者・マーク・ザッカーバーグは、良いUXデザインについて
・使うひとが増えること
・長く使われること
・たくさんのひとが使ってくれること
と過去に挙げられているように、長時間利用されることもUXデザインでは必要なポイントといえるのです。
ユーザーはヒアリングの仕方によって嘘をつく?
では、UXデザインをどう身につければ良いのでしょうか。大見謝さんは、日頃から思考力を鍛えることが大事と伝えます。
大見謝:
UXデザインを身につけるためには、普段からの自分のフィルターを鍛えることが大切なんです。
例えばFacebookを使っていてたんに「使える / 使えない」「これ、かっこいい」ではなく、プロダクトが
①どういうユーザーのどういう問題を解決しているのか
②「これ使える / 使えない」と思わせた要素は何か
③このプロダクトを利用することによってユーザーの生活にどういうベネフィットが生まれるのかを想像する
3つの視点で日常を送ってみてください。思考が鋭くなっていくかと思います。
具体的にワークショップとして、「どういうユーザーのどういう問題を解決しているのか」を聞き出すために、受講生はヒアリング力を鍛えていきます。
なぜなら、聞き方ひとつでユーザーの本当のペインは見えなくなってしまい、誘導 / (本人も気づかぬまに)嘘をつく 場合があるそう。
「LINEをリデザインするなら?」
最後に、UXデザインをより身近に感じてもらうために、受講生同士でワークショップを開催。お題は「LINEをリデザインするなら?」です。
2019年6月時点で、日本のアクティブユーザーが6000万人利用されているLINE。すでにリデザインする必要がない…かもと思われるかもしれませんが、大見謝さんは「オールマイティに刺さるニーズ / ヒットはない」と強調します。
ワークショップでは受講生に対して
LINEを使う前提ではなく、使うきっかけや過程、インサイトを深掘りすること
ユーザーインタビューでのポイントを無意識でできるように
自分なりの課題をみつけて、パートナーを変えて実践。その繰り返しで「UXデザイン」の思考を身につけていきます。
質疑応答を含めると、1時間延長した「UXってなに?」。参加者の学生さんや教育関連、またはメディア、行政のみなさんにとって、よりよい時間となったと思います。
編集記
今回、「UXデザインってなに? プロダクトが与える「経験」からユーザー体験と価値を生むために」を開催してみて、UXデザインの始まりといえる「ヒアリング」ひとつでもこうも多彩かと思うほど。シナリオを作るように緻密にタッチポイントを考えて。かつ、ユーザーの本当のペインを見つけるのは難しいなと感じました。
それは日本人特有かもしれないですし、また地域や特徴によって変わるんだなと、おきなわダイアログとして学びを得る時間でした。
講師:Senspoint Design Inc.・大見謝若菜さん
スペシャルサンクス:受講生の皆様
会場:おきなわダイアログ
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