L・サニー・ハンセンの理論で考える「キャリアはデザインできるのか?」
いまや聞き慣れた感じもする「キャリアデザイン」という言葉。
これらから、キャリアデザインとは「キャリア(=生き方そのもの)を自ら設計していくこと」を指すことがわかります。
デザインというと、絵を描いたりレイアウトを整えたりする美的要素を感じがちですが、キャリアデザインの意は「考案・設計」なんですよね。
とはいえ、本当に自分でキャリアをデザインできるものなのでしょうか?
収入の高い仕事を目指したい
やりたいことや好きなことを仕事にしたい
ワークライフバランスを大切にしたい
自分が成長できる環境で働きたい
こんな目標をもって、自分の人生を設計していくことは、果たしてできるのでしょうか?
すべてが思い通りに描けるかはわかりません。
自分だけでなく周囲の環境や世の中の情勢など、複数の要素が複雑に絡み合ってきますので、簡単にこれをすればよいという1つの方法が存在するわけではないと、わたしは考えます。
ですが、「思い描いていれば、いつかその通りに進んでいく」ということは自信を持って言えます。
これを「カラーバス効果」と言います。
「好きなことを仕事にしたい」と思っていれば、自然と「好きなこと」に関連するニュースが目についたり、人の話が耳に入ってきたりします。
意識することで、行動が変わります。
行動が変わると、環境が変わります。
環境が変わると、経験が変わります。
経験が変わると、自分が変わります。
そうやって気づかないうちに自分がどんどん変化し、成長していきます。
その結果、「好きなこと」を仕事にするチャンスが舞い込んでくる、というわけです。
では、どのようなキャリアをデザインしていきましょうか?
そこで役立つのがキャリア理論です。
様々な理論家がいて、多種多様なキャリア理論があります。
その中でも最近わたしが気に入っているのは「L・サニー・ハンセン博士」の『統合的生涯設計(Integrative Life Planning)』という理論です。
人生における4つの役割を
・仕事(Labor)
・学習(Learning)
・余暇(Leisure)
・愛(Love)
とし、これらをキルト(パッチワーク)のように紡いで、人生をより豊かなものにしていくという考え方です。
例えばこの方の場合、最初の会社では「仕事」×「学習」が中心でした。しかしいまの会社では「仕事」×「余暇」×「愛」に変わってきています。今後は「学習」も加わるかもしれません。
その時々で自分の役割が変化します。人生のステージによってこの4つの役割のバランスが変化するということを、キルト(パッチワーク)で表したのが『統合的生涯設計』です。
役割がなくなるわけではなく、その比重が変わるという感じですね。そして4つの役割それぞれを紡いでいくことで、その人らしいキャリアが描けるとしています。
さらに、ハンセン博士は次の6つの課題を提示しました。
グローバルな状況を変化させるためになすべき仕事を探す
人生を意味ある全体像のなかに織り込む
家族と仕事の間を結ぶ
多元性と包括性を大切にする
個人の転機と組織の変革にともに対処する
精神性、人生の目的、意味を探求する
「愛」や「家族」をキャリア理論に組み込んだのは、女性として大きく変化する時代を生き抜いたハンセン博士ならではの視点なのかもしれません。
「キャリアをデザインする」というのは、「仕事・学習・余暇・愛という役割をどのように紡いでいくか」ということ。一人ひとりが色とりどりのキルトを紡いで社会を作り上げていると思うと、人生が多彩で豊かなものだと改めて実感できます。
わたしはどんなキャリアをデザインしてきたのか―――改めて捉え直してみたくなりました。
あなたの人生はどんな彩りを描いていますか?
明日も佳き日でありますように
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