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「いつも通り」はリモートワーク、「新しいこと」はオフィスワークが向いているという仮説

本格的なリモートワーク生活を開始して約3ヶ月が経った。コロナ自粛の影響で、オフィスワーク中心の働き方から、週5リモートワークへの移行を余儀なくされたのだ。

僕は、会社ではプロジェクトマネジメントの仕事をしている。チームメンバーと協力して、目標に向ってプロジェクトを推進することが主な役割だ。業務の性質上、たくさんの人と関わるから、メンバー個人やチーム全体の成果も把握できる。

3ヶ月という期間は、短期プロジェクトを何本が完了させられる期間。リモートワークがプロジェクトに与える影響もおのずと見えてくる。結果わかってきたことは、作業の効率性はあがったが、成果の総量は減ったということである

リモートワークには、たくさんのメリットがある。まず、通勤や打ち合わせのための移動時間がなくなる。女性なら毎日のメイク時間も減るそうだ。これらにかけていた時間をそのまま他の作業に当てることができるのだから、こなせる作業量は増える。通勤に毎日1時間かけていた人ならば、1時間分他の作業ができる。これはかなり大きい。

また、ずっと同じ体勢で仕事をしていると、めっちゃ疲れる。肩がこる。けれど、家ならば人目を気にせず、ストレッチしたり、寝転んだりして休めるので身体的にも疲れにくく楽になる。

作業にかけれる時間が増えて、疲れにくくなるのだからいいことばかりようにも思える。けれども、やっぱりリモートワークに向いている仕事とそうでない仕事がある。

実際やってみてリモートワークに向いていると思うのは、

・役割分担が明確
・作業の手順が決まっている
・成果物の評価がしやすい
・一人で進めることができる

という性質の仕事だ。

これ系の仕事は、新しい発想で何かを生み出すことよりもいままで通りを守ることや正確さが重視されることが多い。自分の場合だと、データ分析や資料作成作業は周りに人がいない環境の方が圧倒的に作業が捗る。オフィスだと話し声とかいろんな雑音が耳に入ってくるから、集中力が阻害される。ひとりで進める単独作業に、オフィスワークは向いていないのだ。

業務フローが確立された仕事においては認識の齟齬が起きにくい。マニュアル通り、今まで通りを守って進めることができれば、他のメンバー間でコミュケーションを頻繁にとらなくとも、大きな問題は起きない。

成果物の評価をしやすい仕事についても同様だ。このような仕事の代表例としては、システムやサービス開発などのプログラミング業務がある。クリエイティブな仕事というイメージはあるけれど、どちらかと言えば仕様通りに実装されているか、ちゃんと動くかというような正確さが重視される。だからこそ評価がしやすい。コロナ流行前から、リモートで働くエンジニアが多かったことも頷ける。

一方で、いままでやったことのない「新しいこと」を組織で始めるときには、リモートワークではやりずらい。新しい取り組みというものには、往々にしてこんな性質がある。

・いろんな人に影響がある(仕事のやり方が変わることもある)
・様々な論点について議論が必要
・成果が毎回異なる
・アイデアも大事

さっきのリモートに向いている仕事と真逆と考えてもまったく差し支えがない。

「新しいこと」を進めるには「そもそも何のために」ということから議論から始まる。その後に誰が、何を、どのように、実行するのかを決めていく。場合によっては、一度決めたことが覆って議論し直すということも起こり得る。そうすると、◯◯だと勘違いしていました、みたいな認識齟齬がめちゃくちゃ起きやすい。だからこそ議論するにしても、認識合わせするにも、密なコミュニケーションをとらなければならない。

zoomなどでオンラインMTGを開催するけれど、MTG以外の場で顔をあわせる機会がないので、やっぱりコミュケーションの総量は減ってしまう。結果、MTGを開催するまでもない、些細なことを気軽に尋ねにくくなる。しかし、その些細なことが実は重要なことだったということもありうるのだ。ほとんどの場合、オフィスで数秒話せば解消される。

また別の視点だが、新しい取り組みにはアイデアが必要だ。このアイデアというやつは、些細な雑談から生まれることも多い。

セレンディピティという言葉がある。

素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。

オフィスではセレンディピティが起きやすいのでは、と思う。オフィスには情報が溢れている。

座って仕事をしている同僚が何か苦しんだ顔をしていたら、煮詰まっているのかもしれない。

他のチームが議論している内容が自分の進めているプロジェクトに関係しているかもしれない。

こんなときに軽く雑談してみると、思わぬアイデアに出会えることがとても多い。一人で作業するときには、このような情報は雑音にしかならないけれど、アイデアを出すときにはむしろ色々な角度の情報があった方が、たくさんの思いつきを得ることできる。

リモートワークだと、このような些細な雑談から生まれるアイデアがなくなってしまう。これが、作業効率は上がったけれど、成果の総量が減っているを書いた理由だ。「今まで通り」の仕事の効率は上がるけれど、新しいアイデアは生まれにくくなる。その状態を長く続けていると、組織としての発展性が損なわれる懸念もありそうだ。

まだ僕も試行錯誤中なのだけど、どちらが良い・悪いの二元論ではなく、やっている仕事に応じて働き方を使い分けることができれば、真の意味で生産性を上げることができるんじゃないかなと思う。


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