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映画「1917 命をかけた伝令」はこうして生まれた

おはようございます。アルキメデス岡本です。

さて、今回は映画「1917 命をかけた伝令」の感想をお伝えします。

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■解説

『1917 命をかけた伝令』は、2019年制作のイギリス・アメリカ合衆国の戦争映画。第一次世界大戦に投入された2人の若きイギリス兵のある1日を全編ワンカットに見えるように密着して追い掛ける。監督サム・メンデス。

第77回ゴールデングローブ賞において、ドラマ部門の作品賞と監督賞の2冠に輝いた。第92回アカデミー賞において、撮影賞、視覚効果賞、録音賞の3冠を獲得した。

■あらすじ

1917年4月6日、ヨーロッパは第一次世界大戦の真っ只中にあった。その頃、西部戦線にいたドイツ軍は後退していた。しかし、その後退はアルベリッヒ作戦に基づく戦略的なものであり、連合国軍をヒンデンブルク線にまで誘引しようとしたのであった。イギリス陸軍はその事実を航空偵察によって把握した。エリンモア将軍は2人の兵士、トムとウィルを呼び出し、このままでは明朝に突撃する予定のデヴォンシャー連隊第2大隊が壊滅的な被害を受けてしまうが、彼らに情報を伝えるための電話線は切れてしまったため、現地へ行って連隊に作戦中止の情報を伝えることを命じられた。

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第2大隊には1,600名もの将兵が所属しており、その中にはトムの兄・ジョセフもいた。トムとウィルは前線に居る多数の味方を救うため、限られた時間で屍臭漂う無人地帯を抜け、どこに敵が残るかも分からぬ危険な戦場を進んでゆく。その過酷な旅路をカメラが常時捉え続ける。

なお、本作のストーリーはフィクションではあるが、メンデス監督が、キングス・ロイアル・ライフル第一大隊の上等兵だった祖父のアルフレッド・H・メンデスから聞いたエピソードを多数用いている。大戦中、アルフレッドはイギリス軍で西部戦線の伝令を務めていた。

■感想

全編ワンカット風のカメラワークによる圧倒的な没入感がありました。伝令隊の2人を囲い込むようにカメラが追っていきます。その中にいるような気分が味わえます。

ある意味、戦争ゲームやFPSのような感覚です。

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舞台設定もリアルな戦場を再現されており、今まで観た事がある中で言えば「プライベート・ライアン」や「戦場のピアニスト」「ハクソー・リッジ」などを彷彿とさせるクオリティです。

2人のドラマは序盤で急遽終わってしまいます。敵の不意打ちに会いトムは死亡。1人だけになったウィルの生き残りを掛けた過酷なサバイバルが展開します。

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途中、敵軍の中駆け抜け目的地辿り着くまでは、怒涛のシーンが続きます。敵に終われ川に飛び込んだシーンは、どうやって撮影したのか分からない程リアルでした。

本作のリアリティの源泉は革新的な映像表現だけでなく音楽も重要な役割を果たしていて、文字通り「命をかけた伝令」である本作を陰ながら寄り添い盛り上げてくれている。

主人公が真っ直ぐに進む様を盛り上げるシーンなど、本作の醍醐味でもある各々の場面での感情の揺らぎを表現する巧みな「オーケストラ」としての調和が素晴らしい。
僅か1日という期間の中でも過酷過ぎるが故に出てくる人間らしいエピソードに心を打たれながらも、映像の魔力により自分自身もその場に存在しているかのような気持ちになる。

そのため戦争というテーマの重さがずっしりと心と体にのしかかってくる。
リアル過ぎて途中で目を閉じたくなるシーンもあった程だ。

本作の最大の魅力は、だだっ広い戦場の「何もない」空洞感というものが切れ目なく、極めて舞台的、演劇的な効果を持って訴えかけてくるところである。その画面設計や空間設計、さらにはリアルタイムで映画を紡ぐ時空間設計の面でも目を見張る芸術性に満ちていた。戦争映画というアクションドキュメンタリー性と芸術性というものが見事に融合され、極めて巧みな角度でそれを成し遂げていたように思う。

ここまで完璧な映像体験は今まで経験した事がない。VRとは違ったアナログな人間の生の体験を追体験できる。ただ、脚本はあくまでシンプルな作りだ。敵とのダイナミックな攻防戦などはない。あくまで主人公の三人称視点(TPS)を楽しむ映画だ。このプロジェクトから伝わって来るのは、極限まで計算された精密さだ。

そして、もうひとつ。

「成否の鍵を握るのは準備だ。」


ほなまたお会いしましょう。バイバイ~♪






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