歳時記を旅する54〔西鶴忌〕中*灯火親し句集に栞る葉書かな
佐野 聰
(平成三年四年作、『春日』)
一六七五年、西鶴は三十四歳で、結婚して十年近くともに生活をしてきた九歳年下の妻を疱瘡(天然痘)で亡くす。
この年に「脈のあがる手を合してよほととぎす」から始まる千句近い俳諧を詠んで、大坂俳壇の俳諧師の追善句も加えた『独吟一日千句』を刊行し、妻に手向けた。
句は、読み続けた句集に手を止めたところ。栞にする葉書もまた読み返したくなる。涼しく、長くなった秋の夜。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和六年九月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)
☆西鶴忌・・・旧暦8月10日。2024年では9月12日にあたります。西鶴は俳人でもありました。Mitsuo Yoshida さんのご紹介です。