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英単語を1日100個も覚えられる7つのポイント

弊社の運営する英語スクール、ENGLISH COMPANYでは、生徒さんに「1日100個」英単語を覚えてもらっています。

そんなの無理だろ、と思うかもしれません。はじめて受講生の方に「100個覚えましょう」と伝えたときも、みなさん「いや、ちょっと無理です……」とおっしゃいます。

でも、実はこれ、そんなに難しいことではありません。

無理だと言っていた方も、ほとんどの場合、数週間後にはふつうにこなせるようになっています。

実は、ENGLISH COMPANYで教えている単語の覚え方は、多くの方が学生時代にやっていたであろう方法とは違う部分が多くあります。記憶のメカニズムに基づいて、いちばん効率的な単語の覚え方を実践しているのです。

今回はその方法について解説します。英語や暗記に苦手意識のある方は、ぜひ正しい覚え方を知って、英語力を飛躍的にアップさせていただきたいと思います!

ポイント①「覚えよう」としてはいけない

そもそも、単語は「覚えよう」としてはいけません。

……どういうことか。

じつは、記憶力を強化するために大切なのは「あの単語の意味ってなんだっけ……あ、そうだ!」という「思い出した回数」なのです。

これは脳の「出力依存」という性質によるもの。脳は「覚えよう」と入力された情報ではなく「思い出そう」と出力した情報を「大切な情報だ!」と認識しやすいのです。

世の中には「一発でぜんぶ覚えるのがスゴイ!」という風潮もあります。だけどそんなことができるのは、ほんの一握りの人たちだけ。

それをマネしようとしても、多くの人が「一発で覚えられなかった。記憶力が悪いのかな……」と挫折します。

記憶に「覚えよう!」という意気込みは不要です。

サラッとで問題ありません。とにかく何回も見たり聞いたりして「思い出した回数」を増やしましょう。

ポイント②単語帳は「6〜7割は知っているレベル」で

「いちばんオススメの単語帳はなんですか?」と聞かれることがあります。

どこの会社がつくったものでも大丈夫です。

とにかく音声が流れるものであれば、問題ありません。「見たらわかるけど、発音がわからない」だと、実戦で使えないので。

単語帳のレベルは、中身をパーっとみて「6〜7割くらいはわかるかな」というものを選びましょう。ぜんぶ知らない単語帳でもいいのですが、それだとよほど意志の強い人以外は心が折れてしまいます。

ちなみにENGLISH COMPANYでは「キクタン TOEIC®【All-in-One版】」を使っています。

1つのアプリのなかに、3つのレベル(TOEICスコアが600点、800点、990点)の単語帳が入っています。迷っている方は、このアプリで自分のレベルに合った単語帳をやるのもいいと思います。

ポイント③まずは書けなくてもいい

最初は「英語を見たり聞いたりして、日本語がパッと浮かぶ状態」になればOKです。

正確なスペルを覚える必要はありません。

ENGLISH COMPANYでは「単語を覚える」を、3段階に分けています。

  1. 「英語」を見たり聞いたりして「日本語やイメージ」がパッと浮かぶ

  2. 「日本語」を見たり聞いたりして対応する「英語」がパッと浮かぶ

  3. 正しいスペルで「書ける」

です。

1つ補足しておくと、はじめて英語をやる小学生の方などは、書くのもいいと思います。スペリングの基礎ルールなども、まだあまりわからないはずなので。

中高生や大人の方なども、最終的には書けないとダメですよ。たいせつなのはこの3段階を同時にやろうとしないこと。同時にこなそうとすると、大変すぎて挫折しやすくなります。ただ、単語の正確な読み方をしっていれば、スペリングはだいたい見当がついてくるものです。

最初は「見たり聞いたりして、日本語がパッと浮かぶ単語」を、徹底的に増やしましょう。

それは、勉強した効果を実感しやすからです。リーディングのスピードが速くなるし、理解度も高まる。リスニング時にも理解度が増します。

「なるべく早く成功体験をすること」は、継続において大切です。

知らない単語は書けない

「見たり聞いたりしてわかる単語」をまず増やしたほうがいい理由が、じつはもうひとつあります。

それは「見たり聞いたりしてわからない単語を、書いたり話したりすること」は、絶対にムリだからです。

これらは言語学では「受容語彙知識」「産出語彙知識」といいます。

「産出語彙知識」が「受容語彙知識」より増えることはありません。

たとえば「absentminded」という単語を見て、パッと意味が浮かんでこないのに、英会話でいきなり使いこなしたりはできませんよね。(ちなみにこれは、「上の空の」みたいな意味を持つ単語です)

ただし「受容語彙知識」を増やすときも「発音」は必ずしましょう。

「え、まずは読んだり聞いたりできるようになればいいんじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。

発音すると、自分の耳でその音を聞くことになりますよね。

単語を見た瞬間に「意味」を思い出しながら、同時に「発音」もする。そうすれば「意味」と「音」が結びつくので「聞いてわかる」ようになります。

発音の目的は「聞けるようになること」です。

ポイント④Twitterをながめるくらいの気軽さでやる

単語を覚えるときは、めちゃくちゃ気軽にやりましょう。

Twitterのアプリをひらくのと同じくらいの感覚で、単語のアプリもひらく。

テレビのCMとか、電車に乗っているときとかのスキマ時間に、Twitterをなんとなくながめている時間がありますよね。単語帳も、それくらいの感覚でいいんです。

「まとまった時間があって、集中できる環境をつくれたらやろう」と思ってると、いつまで経ってもできません。

私なんかは『スプラトゥーン』というゲームをする合間に、単語を覚えていました。スプラトゥーンでは、対戦相手が決まるまでの待ち時間が、毎回3分くらいあるんです。3分あれば、単語30個を3周はながめられます。

記憶で大切なのは、とにかく「回数」です。

強烈なインパクトがあれば、一発で覚えることもできると思います。上司からめちゃくちゃ激しく怒られたミスは、もう二度としないようにすごく気をつけますよね。

だけど何千個もの単語を、すべて強烈なインパクトと結びつけて覚えることは、現実的ではありません。やっぱり単語の記憶は「回数」の勝負です。

そして数を重ねる際のポイントは、いかに1回の負担を減らすか。

前半でお伝えした4つのポイントは、すべて「気軽にやるため」のもの。

すでに6〜7割は知っているレベルの単語帳を使って「英語」を見た瞬間に「日本語」の意味がパッと出てくるかどうかを、チェックする。そのあとに発音して、聞く力も鍛える。それで次の単語にいく。

このサイクルを、Twitterをながめるくらいのリラックスした感じで、テレビのCMや電車の待ち時間にやってしまうのです。

ポイント⑤おなじ単語を繰り返すのは、意味がない

回数を重ねるにあたって、やってはいけないことがあります。

「ひとつの単語を、何回も繰り返すこと」です。

「Government政府、Government政府」みたいな。そのやり方では、覚えることができません。

それは「記憶」ではなく、単なる「発音練習」です。

最初にもお話ししたとおり、単語を覚えるために大切なのは「思い出した回数」。

思い出すためには「忘れる時間」が必要です。

「Government政府、Government政府」と100回連続で言うのは、忘れていません。忘れかけてさえいません。「思い出した回数」の観点でいうと、1回にしかならないんです。

1回やって、時間を空けて忘れたころに「Governmentってなんだったかな……政府だ!」と言う。それでようやく、2回になるんです。

そのため「単語帳のなかから、間違えた単語だけを抜き出して、集中的に覚える」というやり方も、意味がありません。むしろ逆効果。

これも忘れることができないまま、2周目や3周目がまわってきてしまうから。「間違えた単語リスト」は、不要です。

ポイント⑥忘れていても落ち込まない

どうして私が、これほどまでに「回数を重ねること」の重要性を説くのか。

それは人間が、そもそも忘れる生き物だからです。

ドイツの心理学者であるへビングハウス氏が提唱した「へビングハウスの忘却曲線」というものがあります。その研究によると、人は新しいことを学んでも、1日後にはそのうちの3分の2を忘れてしまうのです。

補足しておくと、この研究の参加者が覚えようとしたのは「rit」「 pek」「 tas」など、意味のない文字列。そのため、ちゃんと意味を持つ英単語を覚えるときは、もうすこし記憶の定着率は上がると思います。

とはいえ「人は忘れる生き物」であるという事実に、変わりはありません。

一度「覚えた!」と思って翌日にやってみて、また忘れてしまっていたとしても、落ち込む必要なんてまったくないのです。

人は忘れるという前提で、何回も繰り返す。

カナダのウォータールー大学の研究によると、一度学んだことを24時間以内に復習をすると、10分で記憶がもどるそうです。1週間後に2回目の復習をすると、5分。1ヶ月後に3回目の復習をすると、たった2〜4分の復習で記憶がもどりました。

出典:https://uwaterloo.ca/campus-wellness/curve-forgetting

一度でカンペキに覚えることはムリでも、回数を重ねれば重ねるほど、記憶の定着のしやすさは着実に上がっていくのです。

ポイント⑦「訳」ではなく「イメージ」が浮かぶように

最後は、単語を見たり聞いたりしたときに「より速く」意味が浮かぶようになるポイントをお伝えします。

それは、日本語の「訳」ではなく「イメージ」を思い浮かべるようにすること。

そうすれば、英文の読解やリスニングのスコアが、グッと上がります。

たとえば「mountain」という単語の訳は「山」ですよね。でも、訳と意味は正確には違うもの。moutainの「意味」は、「地面がもりあがっていて高くなっているところ」「場合によっては木が生い茂っていたり、噴煙があがっている」。そういうのが「意味」であり、イメージです。

すべての単語でイメージを使うのは大変ではありますが、よく使う単語については、わざわざ日本語訳しなくてもいいようなところを目標にするのもいいと思います。

イメージを思い浮かべるようにすると、日本語訳を経由しないぶん、脳内の処理スピードが圧倒的に上がります

ちなみに「語呂合わせ」で覚えるのも絶対にやめてください。

「arrest」を「あれすっと、逮捕する」で覚えるみたいな。語呂を経由するぶん、処理のスピードが落ちます。

「arrest」と出てきたら、犯人が捕まる様子が、パッと思い浮かぶようにしましょう。

【まとめ】どんな単語でも、かならず覚えられる

「難しい単語」「かんたんな単語」って言い方をすることがありますよね。

私がずっと思っているのは、この世に「難しい単語」なんてないということ。

あるのは、ふだんの会話で使う頻度が「高い単語」と「低い単語」だけです。

たとえば「mirage」とみて、パッとイメージが浮かぶ方は少ないでしょう。これは、私たちがふだん「蜃気楼(しんきろう)」という言葉をそれほど使わないからです。

先ほどの「Government」のほうが、一見すると文字数も多いし難しそうです。にもかかわらず、おそらくほとんどの人が「政府」という意味を知っているのは、ふだんの会話やニュースで使うから。

単語を覚えるためにいちばん大切なことは「どれだけ気軽に繰り返せるか」なのです。

人間はそもそも、忘れる生き物。入ってきた情報をぜんぶ覚える脳だったら、イヤなこともめちゃくちゃ覚えていて、いまごろテンションの下がりまくった毎日だったでしょう。

「忘れる」と「思い出す」を繰り返す。そのための挫折ポイントを極力なくす。

そうすれば気づいたとき、どんな単語でもかならず覚えているのです。


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