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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2021年11月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第1話

       第一部        (1)  ドンッ!   ロバートに胸ぐらを掴まれ、居住…

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水深800メートルのシューベルト|第15話

「初めて君に会った時から、なぜか他人のような気がしなかったんだ」  僕は気分に流されるま…

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水深800メートルのシューベルト|第14話

「えへへ。ロバート、良い陽気だねえ」  僕は、ほの暗い艦内にぼんやり浮かぶ白色灯を指した…

4

水深800メートルのシューベルト|第13話

「な、何だよ。俺に言いたい事でもあるのか? 言っとくけど、俺はお前に何もしてねえからな。…

4

水深800メートルのシューベルト|第12話

「なあ、僕は暴れたりしないから、その手をどけてくれないか?」  段々鬱陶しくなってきたの…

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水深800メートルのシューベルト|第11話

「ゲイル先生殿。ご心配をおかけして申し訳ない。私、アシェル・スコットは過呼吸に見舞われま…

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水深800メートルのシューベルト|第10話

 僕は、脳の中に巣くう魔物に食い尽くされようとしていた。食われれば意識もきっと失うだろう。そんな事になったらおしまいだ。その前に、あの秘密を、僕だけが知っているあの極秘情報を広めなければ。でも、どうしてあの話をしなければならないんだっけ?   意識を引きずり込もうとする泥に抗ううちに、ぼんやりとしながらも僕は目覚めてきた。少なくとも目は開いていた。僕の周りを囲う一人一人の顔がはっきりと見えてきた。一番近くにいるのは、角型に刈り込んだ白髪交じりの短髪が似合うゲイル軍医。口角を上

水深800メートルのシューベルト|第9話

 何秒? 何分? 何時間か経ったのか? 気分がふんわりしてきた。緑のシートがぼんやりと眼…

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水深800メートルのシューベルト|第8話

針が刺さった後、さらに強い痛みが肩全体に広がった。これ以上ロバートに何も言わせたくな…

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水深800メートルのシューベルト|第7話

目の前のグリーンから逃れようともがいた。だが、セペタのオリーブ色の太い両腕は、がっしりと…

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水深800メートルのシューベルト|第6話

 視界の右端には、セペタの顔。オリーブ色の顔に線を引いたような真っ直ぐな鼻筋。深く窪んで…

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水深800メートルのシューベルト|第5話

「おい、ロバート、お前何をしている!」  絶望に打ちひしがれたところに、聞き覚えのある声…

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水深800メートルのシューベルト|第4話

「おい! 何病気のフリなんかしてんだよ。立てよ、もやし野郎」  悪魔の強がる怒声が頭の中…

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水深800メートルのシューベルト|第3話

「はあ、はあ、く、苦しい」  そこでようやく僕を締めていた圧力が弱まった。簡易ベッドの脇へ崩れるように座った。しかし、呼吸は止めようとしても止まらず、意思に反してもっともっと加速していった。一秒に五回も十回も胸が動いているようだ。止まれ、止まれよ! 酸素が体に入っている感覚はなく、助けを求めようと目の前の大男に哀願するような視線のサインを送ったつもりだったが、この邪悪な憎むべき呼吸の簒奪者は僕を半ば敵意の眼で、半ば動揺のそれで見つめたまま動かなくなった。      第2話へ