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水深800メートルのシューベルト|第5話

「おい、ロバート、お前何をしている!」
 絶望に打ちひしがれたところに、聞き覚えのある声。セペタのようだった。
「おい、アシェル、アシェル・スコット! 分かるか? ロバート、お前彼に何をした? とにかく、下のベッドに寝かせろ」
 僕は、引っ張り上げられて宙に浮いたかと思うと、ドスンとマットの上に投げ出された。自分の荒い息をかいくぐるようにして、太い声が耳に刺さる。
「過換気だ、ゆっくり呼吸しろ。分かるか? ゆっくり息を吸え」
 耳元に響くセペタの声。誰かが口に紙袋を当ててくる。本能的に顔をそむけて、それを拒否する。
「目をつむるな。気分を落ち着けてゆっくり目を開けろ」
 その時、僕は目をギュッとつむっていたことに気づき、そうっと目を開いてみた。

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