見出し画像

水深800メートルのシューベルト|第14話

「えへへ。ロバート、良い陽気だねえ」
 僕は、ほの暗い艦内にぼんやり浮かぶ白色灯を指した。彼は、口を閉じて尖った顎を突き出し、腕を組んで立っていたが、金縛りにあったようにそこから動けないように見えた。僕は続けた。
「僕は、ホリスターの生まれでさ。近くにはワインで有名なカレラ。知っているかい? カリフォルニアのさ。そこに住んでいたんだけど、よくパパに会いに森まで連れて行かれてたんだ」
「ああ、そうかい。それで、お前の親父と俺に何の関係があるんだ」と、ロバートの焦れた声。
「お前は口をつぐんでいろ、ロバート。アシェルを落ち着かせるのが先だ、喋らせておけ」とセペタのとがめるような声。

     第13話へ戻る 第15話へつづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?