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水深800メートルのシューベルト|第7話

目の前のグリーンから逃れようともがいた。だが、セペタのオリーブ色の太い両腕は、がっしりと僕の両肩に覆いかぶさり、それを許さなかった。
「アシェル、動くな! 息を吸ったら一旦止めろ!」
 頭に響く大声と共に、ドカドカと複数の荒っぽい足音が近づいて来た。
「俺を信じろ、アシェル!」
   僕はグリーンを目にしたくなくて、再び目をギュッと閉じ、ここではない何処かへ行こうと体をよじる。複数の人間が僕を押さえつけているようだった。誰かがシャツの半袖を右肩の上まで捲り上げたかと思うと、針のようなものを肩に刺してきた。
「痛い!」
 僕の悲鳴に応えたのは
「誰だよ、こんな情けねえ奴を潜水艦に乗せたのは」
 と、蔑むさげすようなロバートの声だけだった。

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