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水深800メートルのシューベルト|第8話

   針が刺さった後、さらに強い痛みが肩全体に広がった。これ以上ロバートに何も言わせたくなくて、奥歯を食いしばって耐えた。
 僕だってこんな潜水艦なんかに乗りたくなかった。特殊鋼の棚に体操用みたいなマットを置いただけのベッド、壁側は鈍色で剥き出しの金属。息を吸うといつも二酸化炭素除去薬剤が鼻を捻じ曲げる。通路側には僕等の命を握り、無言の圧力をかける魚雷。こんなところで寝起きして、しかも同僚は最悪 バスタード
 いっそのこと、この中で僕だけが知っている事をぶちまけてやろうか?

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