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第21回|ANWORKS 信江彩乃さんインタビュー【後編】

雪が降ったと思ったら春の陽気になったりな大谷町から、こんにちは。
「大谷でできることを増やす場所」OHYA BASEの管理人です。
三寒四温。
春近しかなぁ。

つい先週のOHYA BASEの庭。

前回はANWORKS 信江彩乃ノブエアヤノさんインタビュー【前編】をお届けしましたね。

【後編】は「らしさ」がさらに濃く出てると思うので、ぜひ読んでほしい。
それでは【後編】の開幕です!


動かないものにも命を吹きこむ、ストップモーションアニメ。

どうしてストップモーションが好きなの?
いわゆる「コマ撮りアニメーション」っていうヤツだよね。

そう、よく知られてるのだとピングーとかニャッキとか。
子どもの頃から好きなんです、ストップモーション。
現実には動かないものが動く、命が吹き込まれている、それが好きなんですよね。
「アニメ」って命とか生命を吹き込むみたいな意味合いがあったと思う。
まさにそれ。
で、あみぐるみも小6から好き。めっちゃ好き。(強調!)
けどわたし実は自分の作ったあみぐるみを他人に触られるのが苦手だったんです…。
このかわいさを伝えたい、けど、できれば見るだけにしてほしい、って。
それもストップモーションが解決してくれた。

自分が作ったあみぐるみを動かして、映像作品として発表する。
それが自分の表現の一つとしてぴったりハマった。

ジレンマの中でたどり着いた表現方法でもあったんだね。


思いはあっても、もじもじして言わない子どもだった。

小さい頃から好き、っていう話が出たから子どもの頃のことも聞かせて。

あんまり今と変わんないんですよね、笑。
幸せなことです、小さいときに好きだったものを今も触ってる。
けど、めんどくさい子どもだった気がする。

どういうこと?

「あれやりたい」とか「あれ食べたい」とか思っても、親とかに「どうしたいの?」って聞かれた時に言わないタイプ。
もじもじしてる。

えー、なんで???
我慢しちゃう?
長女だから、笑?

あれは我慢じゃない気がする。
たぶん、やって欲しがりちゃん、察してちゃん、空気読んでちゃん、みたいな。
「やりたいならやりたいって言いなよ」みたいなのは結構言われてた。
言わないけど思いはあるから、タチが悪かったと思う、笑。

あとは、やっぱり昔から小さくてかわいいものが大好き。
今パッと思い出したんだけど、小石を集めるのが好きで名前は全部「コロちゃん」。
でも親からしたらただの石で、ある日「これ邪魔だから」って、みんなうちの駐車場の砂利の中に撒かれちゃった、笑。
あんまりにもかわいくて肌身離さず持っていたい「コロちゃん」がいて、小学生のとき胸につけてる名札、あれに入れてたんですよ。
で、帰り道でコロちゃんを愛でようかなと思って名札を見たら、いなくなってて。
あんなパカパカした口の入れ物に入れてたらそうなるよね、笑。
あ、落とした!って思って、しばらく家の近所の地面を探してました。
近所のお母さんに「どうしたの?」って言われてもコロちゃんがいなくなった!とは言えなくて、「ちょっと探し物してて!」って、笑。

ちいさくてかわいいもの
どんぐりもその一つだそう


飽き性なのに編みものへの情熱は尽きない。

学生のときは、どんなことやってた?

家政学部、造形表現学科っていうところにいました。
栄養とか保育とか有名なところだったんですけど、そんな学校の美術系の学科にいた。
学校の歴史の話になっちゃうんだけど、元々はお裁縫、服飾の学校だった。
その服飾学科の中の美術専攻のところが、のちのち学科になって。
何かに特化しすぎないで、浅く広く勉強できるっていうのが自分がそこを選んだ理由の一つ。

いろいろのミックスで表現したい、っていうのがその時にはもうあったのかもね。

そうそう。
わたし、あみぐるみ受験したんですよ、笑。
ちょうどこの学科が初めてのAO入試実施だったから入れたのかも、とか思ってますけど、笑。
高校生の時に「あみぐるみコレクション」に出たりしてたので、作家として本に載せてもらった機会なんかもあって。
まだ出版される前だったので、出版社さんにゲラをもらってそれを自己PRの材料にして、もちろんあみぐるみもいっぱい持って、AO受験に。

あみぐるみ受験!
好きだけど自分で編んでみたらうまくいかないとか、挫折したりとかってなかったの?
すごいよね、小学校6年生で好きになって、今も好きだし、今もやってるって。

気持ちわる、笑!
あみぐるみを最初に見たときのインパクトが凄くて。
タカモリトモコさんていう作家さんなんですけど。
本当にかわいくて稲妻に打たれちゃって、これはやるしかない!ってすぐ取り掛かった。
なぜすぐ取りかかれたかっていうと、母のおかげですかね。
かぎ針編みってハードルの高いモノじゃないのもあって、既に母親が編みものができて、かぎ針も家にあった。
「やりたい」ってしっかり言わないようなタイプだし飽き性なんだけど「絶対に途中で投げ出さない」「機嫌悪くならない」って母に約束して。
絶対諦めないから教えてください、って教わった。

最初からうまくいったの?

右:小6で信江さんが初めて編んだあみぐるみ
今も昔もカエルが好き、笑

今触ると綿が入ってなくてスッカスカだけど、でも自分でゼロからできた、って。
シンプルなんだけど、とてもかわいらしくて。
タカモリさんのものにはほど遠いけど、でも同じ「あみぐるみ」っていうものが作れた、って自信にはなった。
そこからは楽しすぎて止まんなかったですね。
当時は月に2〜3体編んでたんじゃないかな。
自分じゃ覚えてないんだけど、高校受験のときも勉強せずにずーっと編んでた、って言われましたし。
最初の衝撃と、やりたい!の情熱が尽きてないのかな、と思います。

飽き性なはずが、ずいぶん続いてるよね。

モチーフは自家栽培のトマトだというブローチ
信江さんの日常にはインスピレーションがいっぱいなのかも


大谷町は「新しい地元」、BASEは仲間ができてきたと思える場所。

大谷町に/OHYA BASEに出入りするようになって、感じることとか自分の気持ちの変化とかありますか?

大谷石の岩壁と夕焼け

働いてると、1年を通して大谷石の岩壁と自然の移ろいがすごいきれいな瞬間が見られるんだけど、でもそれって観光のお客さんが帰ったあとに見えたりするんですよ。
夕立ちのあとに虹が出たとか。
夕方の光と桜と菜の花と川!とか、きれいだった日とか。

大谷石の岩壁と虹
しかもよく見ると二重に虹がかかってる!

あぁ、わかるー!

こういうのどうしてみんなが帰ってから見えるんだろう、って。
長い滞在時間じゃないとわからない魅力、みたいな。
それが伝わらないのが残念…!っていう思いがあったりします。

あと、大谷は石材産業の街って思ってたけど、石じゃない自分の商売で大谷を拠点にする人がいるんだなぁ、っていうのに気づいた。
職場のセレクトショップの代表みたいな、大谷町を盛り上げたいっていう人は知っていたけど、それ以外の人も来てるんだなって思えたのは、BASEに出入りするようになってから。
資料館に遊びに行こう、ぐらいの気持ちだったときより、ちょっと街に動きが出てきてるし、仲間ができてきたなぁって、思える場所になった。

のぶえさんにとって、大谷町/OHYA BASEってどんな場所?

「知らなかった新しい地元」です。
へへへー。
子どものときに来てなかったから、あの地下空間を知ったり歴史を知ったり、こういう動きが起きてるっていうのを知ったりしたのが最近のこと。
新しい地元。

お。
素敵なキャッチコピーみたいだぁ!
最後にこれからやりたいことなどお聞かせください。

個人的には継続してやれるワークショップももっとやりたいし、編みものに関わらずできる仕事の幅をもっと増やしたいなぁ、とか。
そういう窓口としてもっとOHYA BASEを活用していこうって。

過去のワークショップの様子

あとはこれはつい最近大谷の陶芸教室で話しながら、あぁ、って思い出したんですけど。
歩きながら芸術作品を見て楽しむようなアートのイベントがやれたらいいな、芸術祭とかアートフェス、とかって。
大谷は文化レベルが上がるようなそういうことができるエリアだな、って思ってるので。

最近いろんなイベントも立ち上がってるし、やれそうな土壌はできてきてると思うんですけどね。
あとは…完全に妄想なんですけど。
空き地や空き家を活用して、シェアアトリエみたいなのもできたらいいなぁ、と。
宿泊施設もほしいから、アーティストインレジデンスみたいなのがあったらいいのに、って。

そういうのができたら、海外で活躍してる友だち呼びたいし、自分も使いたい。

大谷町内の工房の陶芸教室で作ったボウル

いいね、夢は膨らむねー!


〜インタビュー後記に代えて〜

…そろそろインタビューを終わりますが、言いそびれたこととかありますか?

仕事以外でも編みものが好きです!
あと小林賢太郎とー、眼鏡とー、昆虫とー、英語とー、麦チョコと、男体山かな、笑!

無印の麦チョコが特に好き。
おいしいです。
手の中で溶けないっていうのもいい。
(と手のひらを広げて見せる。)
…はっ!!!

\\\小さくてかわいい!/// 

麦チョコのフォルムにもかわいさを見出してたのかも、笑。
あのツヤツヤ感。
かわいい。
コーヒー豆みたいな。
でもコーヒー豆は食べられないから、麦チョコのほうがいいね。

そうだね、笑。
本日はありがとうございました!

信江さんの手から生み出されるかわいいものたち

…というわけで信江さんのおもしろさとかわいさがぎゅっと詰まったインタビュー【後編】でした。
インタビューを締めようとしたときの会話が良かったので、今回はインタビュー後記に代えてみました。

最後に、管理人の独断で挙げるANWORKS 信江彩乃さんを知るためのキーワード3つ!

1. 信江さんがいるだけで、そこは信江劇場。
2. 街にいても自然の中にいても、他の人にはできない発見だらけ。
3. 媚びない姿勢、と同時にめちゃくちゃ繊細。

最近、信江さんはBASEで手芸部(仮)を始めたようです。
部活ってちょっといいよね。
気負わず遊びにきてください。
そうそう、手芸も好きだけど、カナヘビとかヒメシロコブゾウムシとかも好きだそうですよ。
(写真までもらったのに載せきれなかったなぁ!悔しい。)

次回はOHYA UNDERGROUNDを運営するLLPチイキカチ計画の中から、NAOC 代表・増渕隆宏さんのインタビューをアップします。
3月上旬予定、乞うご期待!

OHYA BASEは「大谷でできることを増やす場所」です!
ではまた。


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