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おおきなそらが やさしくなったわけ

むかしむかし あるところに

おおきなそらが ありました。


おおきなそらには とっても じしんが ありました。

「わたしは あめも ゆきも にじも つくれるんだよ。わっはっは。わたしが いちばん すごいんだ」

そらにはなんでも できるんだ って

いつも おたかくとまっていました。


あるおかに

うさぎさんがいました。

うさぎさんは そらをながめて

おもいました。

「ぼくは にんじんがたべたいな」


それをきいた おおきなそらは

おもいました。

「にんじん?」

おおきなそらには にんじんを

つくれませんでした。

「わたしには なんでもできると おもっていた。あめも ゆきも にじも つくれる。けれども にんじんは つくれないなぁ」


こまった そらは とんでいた ことりさんに

ききました。

「どうすれば にんじんを つくれるんだい?」

ことりさんは いいました。

「にんじんは だいちで そだつものよ」

「だいち……」


おおきなそらは おどろきました。

こんな したの したの

いちばんしたにある だいちに

にんじんを つくれる ちからが

あるなんて。


おおきなそらは だいちに ききました。

「だいちさん にんじんを つくれるのかい?」

すると だいちは いいました。

「ああ つくれるとも」

おおきなそらは おどろきました。

「そうか だいちさんは すごいなあ」

だいちは ニッコリとしました。

「おおきなそらさん あなたのちからも ひつようですよ」

「え? わたしのちから?」

「はい。おひさまの ひかり。あめの しずく。よるの やさしいねむり。そらさんと ちからをあわせて おいしい にんじんを つくりましょう」

「だいちさん ありがとう」


こうして おおきなそらと やさしいだいちが

ちからをあわせて

おいしい にんじんを たくさん

そだてました。


「うさぎさん にんじんですよ」

うさぎは とびはねて よろこんで

「ありがとう だいちさん。ありがとう そらさん」

と わらいました。


ことりさんが とんできて

「よかったね」

と いっしょに よろこんで

まわりを クルクルリと とんでいました。


おおきなそらは はっと きがつきました。

「わたしの ちからは ひとつだけだけど。ことりさんに おしえてもらって、だいちさんと ちからをあわせることで にんじんがつくれるんだと わかったんだ。よろこんでくれる うさぎさんも おともだちに なってくれたんだ」

ことりと だいちと うさぎは いいました。

「そらさんと おともだちになれて うれしいな。ありがとう」

おおきなそらは いいました。

「ことりさんと だいちさんと うさぎさんと おともだちになれて うれしいな。ありがとう」


おおきなそらは もう いちばんに

こだわらなくなりました。


おおきなそらは けれども

そのおおきな やさしさに

みんなから したわれるように なりました。


それは ほんとうのたいせつな たからものを

みつけたから なのかも しれませんね。


おわり。

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