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夏の終わりと、フュージョンSUSHI。

11月1日、未明。
アメリカの夏が終わりました。

正確には、夏時間(デイライト・セービング・タイム)から標準時間に切り替わったのですが。
この日は1日が25時間となる、ちょっと特別なこの日。

たった1時間の違いなのだけど、されど1時間。

朝から晩まで、なんなら翌日(いまここ)まで。
腹時計も、生活リズムも、ボタンを掛け違えたように、違う足で歩き始めたかのように、調子がくるいまくりなのです。


時計は直るが、腹時計は直らない。

朝起きてまず最初に、家中の時計を1時間遅らせます。
俗に言うところの「Fall Back(後ろに倒れる/秋は後ろに)」ですね。

携帯の時間は自動で標準時間になるので、これをベースに、時計という時計を片っ端から1時間遅らせていきます。

壁掛け時計はすぐに直りますが、コンポやオーブン、空調の時刻変更はけっこう複雑。

中でも車の時計は重要で、どこかへ行こうと乗車した瞬間「やべー!遅刻!」と焦ったりするので、早めに直すが吉!です。

目に見える時間がすべて直ると、標準時間にスッと戻れた気がするのですが。

これは気のせいです。

我が腹時計は、そう簡単には直せない。

生きるために食べているのか、食べるために生きているのか、わからないほど、毎日正確な時間にご飯を食べがちな我が家。

標準時間では朝の10時なのに、キッズはだんだんお腹が減ってくる。さらに、その後のお昼寝の時間も迫ってるので、眠気も襲ってくる。

ハラヘリを何とか我慢できて、でも眠くてグズグズになる直前の、ギリギリを攻めたタイミングでランチを提供したい!

この世で最も地味な攻防ですが、この日のランチは、母親としての手腕が問われる重要事項なのです。


都会へ繰り出す夜。

私たちが住んでいるのは、全米一安全と言われるアーバイン市。お年寄りと子供たちに最適なエリアであるが故に、夜遊びスポットは、ぜーんぜんありません。

ここから、車を走らせること30分。

山を登って降りると、バーンと一面に海が広がり、アーティストが集うオシャレな街、ラグナビーチに到着!
ザッツ☆南カリフォルニアのさわやかブリーズを感じることができます。

普段は昼間にちょろっと散策する程度ですが、この日はディナーに、ラグナビーチのオシャレなお寿司屋さんを予約していました。

しかも、フュージョンSUSHIという初体験のジャンル。

お世話になっているお寿司屋の店長さんが、COVIDの影響でラグナビーチに出稼ぎに行っている・・・と聞いて以来、ずっと行きたかったお店。

夫の誕生日祝いを兼ねて、ドドーンと予約しちゃいました!

しかしこの日が秋の始まりであること、1時間ズレていることを、うっかり、すっかり、失念していたのでありました・・・。


タイミング逃しまくり。

先ほど熱めに語った、この日のランチ時間重要説ですが。

えぇ、もう、バッチリ。

変なタイミングになってしまいました。

1時間余分に起きてて、眠たいはずなのに、逆に遅めのお昼寝でひたすら寝る!という謎の事態に。

お昼寝後はバタバタと準備してラグナビーチを目指す我ら。一応オシャレレストランでのバースデーディナーなので、オシャレをするわけです。

ワンピースに、久しぶりのヒール。

車を降り立つと同時に、靴擦れの予感しかしません。

用意したベビーカーに目もくれず、長男の抱っこしてコール!
これに応え、13キロの肉の塊を抱えて歩くと、靴と足の擦れっぷりが加速します。

足をひょこひょこさせながら坂道を登り、お店を発見。COVID対策で、4つのテーブルが歩道に出ています。

が、なんだか客たちがザワついているではありませんか。

ビー!ビー!!ビー!!!ビー!!!!

お店の目の前に駐車している車が、カーセキュリティがイカれたらしく、ビービー!ビービー!鳴らし散らかしているのです。

でも、お店予約してるし、席はそこしかないし。
どうすっかなぁ、と思っていたら・・・

わりとすぐにギャル風おばさま3人組が登場し、その迷惑な車に何食わぬ顔で乗ろうとしたのです。

いやいや、待て待て。

騒音を我慢しながらフュージョンSUSHIを食べていたお客さんたちが、けっこう強めのトーンで文句を言い始める。ギャル(略)たちは「うそ?まじで?ごめーん!」

でも、素直に謝ってくれて良かった。

みんなぶち切れていたけど、言いたいこと言ったらすっきりしたようで「早く点検してもらいな。わっはっは!」と、最後は和やかに終わっていました。ほっ。

「さすが麻未ちゃん、強運子(きょううん・こ)だね」

夫に褒められ(?)ながら、ビービー!音から解放された静かな席に着きます。が、私たちの本当の闘いは、ここから始まるのでした。


忘れていた、オシャレ外食の恐怖。

4歳と2歳を連れた、久しぶりのオシャレ外食。

キッズの気を紛らわすためのツールをいくつも用意して挑みましたが、どれもイマイチはまらず。

フェルト生地で出来たアクティビティブックは、付属のフェルトで出来た小さい車やら飛行機やらが、アッという間に地面に落ちて散乱。

マグネットでプリンセスを着せ替えするブックは、大変人気がなく、いらないいらないと投げ合い、宙を舞い、片方の顔に当たってエーン!

そうです。

いつもより夕飯が1時間遅いがために、彼らのお腹はハラヘリヘリハラ。我慢の限界、イライラ絶好調なのです。

しかもオシャレなフュージョンSUSHIなので、気軽にご機嫌を取れる子供用のジュースがNAI!

唯一頼めるラムネを頼んでみるものの、初めての微炭酸にベェ~!となっている。。飲まないのにビー玉だけ取ろうとしている。。もうやめて。。

加えて、坂道にテーブルを置いているため、微妙に斜めになっていて、しかもオシャレなサーフボードで作ったテーブルはつるんつるんで、ラムネやらグラスやらが、す~っと滑っていってしまうのです。

特に2歳の坊主があれこれ手を出すので、ヤツをひざに乗せ、動きを制御しながら、滑るグラスを寸でのところでキャッチしつつ、難しいネーミングの料理の謎を紐解き、キッズが食べられそうな品物をなんとかオーダー。

すると、どうでしょう。

フュージョンSUSHI屋で、アンフュージョンな品ばかりが並ぶではありませんか!

あの手この手でキッズをあしらいながらも、もう詰んだ!これ以上ネタがない!というときに奇跡が。

何の気なしに頼んだ枝豆が、長男のアソビ心をガッツリ掴んだのです。

その後の2歳児は、ひたすら豆を取り出すことに集中し始めたので、私たち夫婦はその隙に、美味しいお寿司をバクバク食べる。

「お誕生日おめでとう!」も言い忘れ、ビーチや夜景を堪能することもできず、ただひたすら子供たちが食器を割らないよう、醤油をこぼさないよう、わさびを口に入れないよう、阿吽の呼吸でチームプレーを発揮するだけで精一杯の私たち。

確かに、お寿司は美味しかった!

フュージョンSUSHI、最高だね!

でも食事が終わった頃には、髪の毛はボサボサ、ワンピースは皺だらけ、タイツには大きな穴が。

わずか1時間のディナーでボロボロになった私は、筋肉痛の太もも、靴擦れの脚を引きずり、再び13キロの肉の塊を抱えて、駐車場を目指したのでした。

ザッツ☆南カリフォルニアの、爽やかなシーブリーズを感じながら。


いやー・・・。

オシャレ外食、あまりに久しぶりで忘れていましたが。

こんなに大変でしたっけ???!ヘイヘイヘイ。

1時間の時差のせいで、より一層大変だった気がします。

さらに、今朝の長女ったら朝4時起き!イヤン!

たかが1時間、されど1時間。つまりは60分。

この差に、ものすごーく生活を乱され、変なテンションを身にまとって私は、秋を迎えるのです。

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