20歳からも「伸びる知能」、「伸びない知能」とは?
「年々、頭の働きが落ちてきて…」
こう悩んだり、不安に感じたことはありませんか?
たしかに加齢とともに一部の能力が低下するのは事実ですが、成人以降も向上し続ける知能も存在します。
心理学者のレイモンド・キャッテル氏が提唱した2つの知能から、この問題を紐解いてみましょう。
人が持つ2つの知能:流動性知能と結晶性知能
「流動性知能」とは、新しい状況に直面した際、既存の知識や経験に頼らずに、状況を素早く理解し、柔軟な発想で問題を解決する能力を指します。これには計算力、暗記力、集中力、IQ、直感力などが含まれます。流動性知能は通常、25歳頃にピークに達し、65歳前後で低下する傾向があると言われています。
一方、「結晶性知能」は、これまでの経験や学習を通じて蓄積された知識やスキルを活用して、問題を解決する能力を指します。これには洞察力、理解力、批判力、創造力などが含まれます。結晶性知能は20歳以降も向上し続け、高齢になっても安定しているとされています。
つまり、流動性知能は「未知の状況に適応する柔軟性」を示し、結晶性知能は「蓄積した知識や経験を駆使する能力」と言えます。
年齢を重ねると「流動性知能」が低下する、はなぜ?
なぜ、年齢とともに流動性知能が低下するのでしょうか?その理由として挙げられるのが「ワーキングメモリ」の存在です。
ワーキングメモリは、情報を一時的に記憶し、取捨選択して処理する能力を指します。高齢になると、物忘れが増えるのは、ワーキングメモリの機能が低下しているためです。
人は新しい状況に対処する際、必要な情報を瞬時に取捨選択し、一時的に保存し、長期的な情報と結びつけながら解決策を見つけ出します。このプロセスにおいて、ワーキングメモリが重要な役割を果たしています。したがって、ワーキングメモリの機能が低下すると、柔軟な発想で問題を解決する「流動性知能」にも影響を及ぼす可能性があることが理解できるでしょう。
一方で、こうした事実を知れば知るほど、流動性知能が年齢とともに低下することに、どことなく哀しみを覚えるかもしれません。でも、ご安心ください。いくつかの研究で、流動性知能は向上しないまでも、維持できることが実証されています。
たとえば日常生活でできることとして、モノづくりなどの創造的な活動を楽しんだり、新しい人々と交流を持ったりすることが、流動性知能の低下を防ぐのに役立つと言われています。
また、「流動性知能」と「結晶性知能」と定義されていますが、実際はこれらの知能を厳密に分けることは難しく、互いに影響し合うこともあります。したがって、年齢とともに知能が衰えることを嘆くのではなく、トレーニングや学びを通じて向上させる努力に取り組むことが重要です。
自己成長と知的な挑戦を積極的に追求することで、知識やスキルを向上させることができるでしょう。日々、学習ですね。
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