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人的資源管理の基礎!「ミシガンモデル」と「ハーバードモデル」とは?

人事の仕事は実践ありきで、理論まで探求することは少ないでしょう。

ただ、この実践至上の傾向に、もどかしさを感じる人事の皆さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

我々実務家は実践が不可欠ですが、同時に理論的な基盤を築くことも効果的な実践に繋がります。




知っておきたい2つのモデル:「ミシガンモデル」と「ハーバードモデル」


「人的資源管理」とは、人材を経営資源として捉え、有効活用するための仕組みを体系的に構築・運用する考え方です。

歴史をたどると、19世紀から20世紀にかけて起こった産業革命に源流がありますが、理論的な発展が進んだのは1980年代の頃とされています*1。

その中で特に押さえておきたいのが、「ミシガンモデル」と「ハーバードモデル」です。それぞれどんな特徴のあるモデルなのでしょうか。


ミシガンモデル:環境に「適応」して「一貫」した施策を行うことが重要


まず、ミシガンモデルが生まれた時代観から押さえておきましょう。

第二次世界大戦が終わると、米国を中心に今の"グローバル化"が始まります。企業は国境を越えて事業を展開し、1970年代からは急速なグローバル経済の変化が見られました。

同時に、急速な技術の進化がビジネス環境を変えました。絶えず進化する技術は組織に新たな課題と機会をもたらし、変化に柔軟に対応できる組織が求められるようになりました。

こうした背景の中で誕生したのが「ミシガンモデル」です。簡潔に言えば、このモデルは「環境と組織のフィットが重要」であり、「適応性」と「一貫性」がポイントになるということを言っています。

ここでいう「適応性」とは、外部環境と内部環境の関係によって、最適な人材マネジメントが変わってくるということです。

たとえば、変化の激しいIT業界では、イノベーションや柔軟性が強調され、エンジニア組織においては創造性や新しい技術の習得が求められます。一方で、安全安心を重視するインフラ業界では、安定性や品質管理が重要視され、組織においては堅実なリーダーシップや確実性が求められるでしょう。

また、「一貫性」とは、採用と選抜、人事評価、報酬、人材開発といった各施策同士の組み合わせが、組織と個人のパフォーマンスに影響を与えるということを言っています。

つまり、適切な人材を選び、そのパフォーマンスを評価し、報酬を提供し、スキルを開発することで、組織のパフォーマンスを向上させるという考え方です。


ハーバードモデル:従業員のニーズと組織の目標のバランス


ハーバード・モデルは、経営学者たちによって提唱されました。こちらは組織の成功には従業員の満足と成長が欠かせないと考え、そのためのアプローチを示しています。

ステークホルダーの利益調整: 組織内外の期待や利害関係を考慮し、調整することが求められる。
制度的フレームワークの整備: 組織全体の方針や制度が個々の従業員の成長や満足に寄与するように整備される。
流動的な組織構造: 変化に柔軟に対応し、従業員の成長と組織の成功を促進する。
共感的な組織文化: 共感的な文化を築くことで、従業員のモチベーションとチームワークが向上し、組織全体が良い方向に進む。

ハーバード・モデルは、従業員自身のニーズと組織の目標をバランス良く満たすことを重視します。つまり、従業員の能力や態度、組織の効果や効率、社会のニーズや期待を考慮するという考え方です。

これらのモデルは、人事管理の異なる視点を提供し、組織の目標達成と従業員の満足度の両方を高めるための戦略を形成するのに役立ちます。ミシガン・モデルは組織の目標達成に焦点を当て、ハーバード・モデルは従業員のニーズに焦点を当てます。これらのモデルを理解し、適切に適用することで、組織は人事管理の効果を最大化することができます。


(参考文献)
*1 

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