エンパワメント=権限委譲は本当か?
「エンパワメントは丸投げではない!」
「権限を委譲して任せ切ることだ!」
こう教わったことがありましたが、これって本当なんでしょうか?
少し疑ってみます。
人間は皆、本来的に能力や権限を有している
エンパワメントとは、
組織が目指している目標を達成するために、組織のメンバーが自律的に行動する力を与えるためのリーダーシップ技術のこと(出所:GLOBIS 知見録)
皆さんはこの定義を読んで「ナルホド、そうだよね」と納得できるでしょうか――私は腹落ちしませんでした。
腹落ちしないのは、(私自身がエンパワメントが苦手・・・というのもありますが)、その言葉が生まれた背景を理解できていないからでもあります。
そこで、より理解を深めるために語源を辿ってみます。
エンパワメントの語源を見てみると
「エンパワー(empower):力(権限)を与える」
とのこと。
この言葉の歴史的背景にあるのは、米国における人種差別解消の運動、女性の権利獲得運動などです。
こうした社会運動をきっかけにエンパワメントが使われるようになったのです。
さて、こうした背景を踏まえると、ポイントは次の通りです。
① 人間は本来、能力や権限を本来的に有している
② ただ、その能力や権限が何らかの制約によって発揮できない状態にある
③ それらを取り除き、本来の力が発揮できるようにするのがエンパワメント
こう捉えると、エンパワメントは権限委譲"だけ"じゃない気がしてきます。
エンパワメントとは、力の発揮を妨げる障害を取り除くことではないか
さて、ここまでの議論で
「どうやらエンパワメントは、権限委譲だけじゃなさそうだ」
ということが見えてきました。
ただ、だからと言って「権限を与える」ことが不要という訳でもありません。
それよりも大事なのは、本人が思いっきり力を発揮してもらうために、それを阻害する制約を取り除くことこそが重要ではないか、と思えてきます。
つまりは、
チームメンバーは本来、力溢れる存在だ
だが、状況によって一部能力が足りなかったり、人と人との関係性の問題でどうも力が出しきれない
だからリーダーはそうした障害を取り除いてあげるのだ(その一つの手段が権限を渡すことだ)
こういう整理になる訳です。
結論、「エンパワメント=権限委譲」は間違っていないのですが、
個人的な解釈としては「権限を与える」はあくまで部分的であり、
本質的には「本人が本来持っているパワーをいかに引き出すのか?」というのが大事だと捉えました。
皆さんはこのエンパワメントをどう解釈し直しますか?
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