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小川志津子の文。

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20年来取り組んだライター職を離れたアラフィフが、日ごろ見聞きし感じたことを記す随筆マガジン。
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2019年11月の記事一覧

小川志津子の素性と持ちもの

小川志津子の素性と持ちもの

ご訪問いただき、ありがとうございます。
初めての方、はじめまして。小川志津子と申します。

2000年代の序盤あたりから、
フリーライターとして活動していた者です。

主に演劇や映画の雑誌で、
俳優さんや作家さんにインタビューをするお仕事でした。

はっきり言って、青春だったです。

今は、青春の日々を過ぎまして、
いろいろあって「ゆる隠居」中です。
その経緯に関しては、このnoteに詳しいです。

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物ごとは、忘れちゃうもんだ。

物ごとは、忘れちゃうもんだ。

このところ、物忘れがひどい。ひとの名前が出てこない。読んだ本や観た映画の内容が思い出せない。こうなると「物は、忘れる」がデフォルトである。物事はすべからく忘れるものであるから、常に、忘れないように対策しておかなければならない。

たとえば、朝晩、飲む薬。存在自体を忘れてしまわないように、机の上に出しておく。視界に入るたびに、「あ」と思う(ようにしている)。それが朝や晩だったら、飲む。

たとえ

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とるにたらない、とりかえしのつかないこと。

とるにたらない、とりかえしのつかないこと。

 ある日突然、「T」のキーボードが、ぽろっと取れちゃったことがある。

 なんだか手応えがおかしいなあ、と思っていたのだ。「た行」の言葉を打ち込むたびに、なんとなくつまづく。それはもうじれったくて、なんだよもー、とキーボードをいじっていたら、「T」のキーボードだけが、ぽろっと取れた。

 わはは、とれたー! 深夜のおかしなテンションで私は声を出して笑った。すっげえ、キーボードの下ってこんなふうにな

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仕事が好きでも、好きでなくても。

仕事が好きでも、好きでなくても。

「好きを仕事にしよう!」とかなんとか、人はよく言うけれど、現実は、もともと興味があったわけではない仕事に就いて、粛々と働いている人が大多数なのだと思う。そういう人たちが、「好きを仕事にする」ための転職をはかるよりも、今、手の中にあるその仕事をゆかいにすることの方が先なんじゃないかと、私なんかは思っている。

 その仕事が嫌いで嫌いで、毎朝気が重くて重くて、這うようにして職場に通っているなら別である

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10年間の取りこぼし。

10年間の取りこぼし。

 ジーーーーコロコロ。
 ジーーーーコロコロコロ。
 深夜。テレビの足元で、ハードディスクがせっせと働いている。最近CSで『寺内貫太郎一家』の一挙放送をやっていて、全39話を1日2話ずつ、毎晩観ながら録画もしているのだ。最初、第1話が放送された夜はほんとうに迷った。初回から全部録画するべきか。でも私の性格からして、録画しちゃったら、それで安心して、たぶんもう、観ないのだ。これまでも、「未視聴」のマ

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