小川紗良の自由帳

小川紗良(文筆家・映像作家・俳優・ラジオパーソナリティなど)です。自由帳はじめました。気ままにやっていきます。 Twitter・Instagram→@iam_ogawasara

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マガジン

  • 小川紗良の0から保育

    取材や体験を通して、保育の世界を学びながら発信していく連載です。

  • 今月のお気に入り

    毎月観たもの、聴いたもの、読んだもの、食べたものなどの中からお気に入りを紹介します。

  • 「美少女戦士セーラームーン」レポート

    「美少女戦士セーラームーン」のレポートを10話ずつ更新していきます🌙

最近の記事

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はじめてカウンセリングを受けた話

私は、人に頼ることが苦手です。 出来るだけやれることは自分でやろうと思ってしまうし、その結果抱えすぎてパンクしたり、かえって人に迷惑をかけてしまうことが多々あります。 思春期に悶々としていた頃も、思い詰めて行き着く先は必ずトイレの個室でした。 誰にも気づかれないようにひとしきり泣いたら、何事もなかったかのように廊下へ出て平然と過ごす。 保健室やスクールカウンセラーさんのもとへ駆けつけたらおしまいだと、プライドと先入観で思い込んでいました。 そんな私がつい先日、生まれて初め

    • 憧れの「シェ・パニース」を訪れて号泣した話

      シェ・パニースのことを書くまでに時間がかかった。なぜなら、いろいろあったから。 カリフォルニア州バークレーにあるフレンチ料理店「シェ・パニース」のオーナー、アリス・ウォータースは、オーガニックやスローフードを地域に根付かせ、世界に発信し続けている人だ。 私が彼女を初めて知ったのは、彼女の著書『スローフード宣言 食べることは生きること』(原題:WE ARE WHAT WE EAT)を読んだとき。ちょうど自分も暮らしに目が向き、農園や自然豊かな場所に通うようになったころで、ア

      • 生活と自然と政治と。【都知事選と鹿児島県知事選】

        私は今、アメリカでひとり旅をしている。カリフォルニア州バークレー、モントレーから、オレゴン州のポートランドへ。旅をしながらも、都知事選の様子がちらほらニュースやSNSで目に入る。(トップ画像は2年前の参院選のとき、下北沢・ボーナストラックに貼られていた可愛いポスター) 私は東京のなかでも西側の、のどかな場所で育った。井の頭公園や、ジブリ美術館や、国立天文台、オーガニックの畑もある。地域文化が根付いていて、子どもも大人も集うコミュニティがある。暮らしやすさと、のどかさとのバラ

        • #文化の日 『スローフード宣言』

          このごろ、食べることばかり考えている。 もともと食いしん坊なのもあるが、今長期的に挑んでいるプロジェクトのなかで、より多角的に食と向き合うようになった。 そんななか、縁あってとあるサンプル本をいただいた。 アリス・ウォータース著、小野寺愛訳、『スローフード宣言 食べることは生きること』だ。 島根県の離島にある「海士の風(あまのかぜ)」という小さな出版社から出されたこの本。著者の価値観に近い出版社と組みたいという思いからここに決まったそうで、なんだかその成り立ちを思うだけで

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        記事

          オレンジの旅路

          (この文章は、2019年10月にメルマガに掲載された記事を再編集したものです。) 空っぽの私が行くあてもなく電車に揺られていた。20歳の夏の終わり。鹿児島の阿久根市で映画を撮った。たくさんの無茶をして、迷惑をかけて、想いばかりが先走り転がりまわった20歳。映画を撮り終わって、私はすっかり空っぽだった。東京行きの飛行機をキャンセルし、肥薩おれんじ鉄道にひとり飛び乗った。 あれは傷心旅行であった。映画づくりの日々が嵐のように過ぎ去ったあとの虚無感、そしてクランクインの直前に喰

          オレンジの旅路

          雨樋

          (この文章は、2021年5月にメルマガに掲載された記事を再編集したものです。) 深夜0時32分、雨樋(あまどい)からポタポタと水の滴る音で目が覚めた。きっと詰まりを起こした雨樋の中で、雨水が染み出すその度に大袈裟な音を立てて落ちているのだろう。しかし困った。明日、というか今日は仕事で早起きをするためにしっかり早寝をしていたのに、まさか雨樋ごときに眠りを妨げられるとは。絶妙に耳障りな音量で、木魚のように一定間隔の音を出し続けている。いっそトンチのひとつでも浮かべば良いのだが。

          今、この業界に思うこと

          いつも、ことが動き出すのは何かが起きてしまったあとだ。 ここ数日映画やテレビの業界にまつわる様々な告発を見ながら、その現実に落胆しつつ、もう落胆しているだけではいられないと思った。 これからもたくさんの女の子たちがこの業界を夢見て、飛び込んで、そしていつかどこかで嫌な思いをするだろう。 そのことにもう耐えられないし、耐えたくもない。 いち俳優・作り手として、どちらもまだまだ未熟だが、今後の自分やその後の世代のために微力でも意志を示したい。 あらゆる暴力やハラスメントは、たと

          今、この業界に思うこと

          【#0から保育】 第10回 保育とキャバとシングルマザー(後編)

          小・中学校の同級生で、現在シングルマザーとして子育てをしながら保育園で働いているマミ(仮名)。久しぶりに再会すると、息子のケンちゃん(4歳)を連れてやってきた。 今回は前編に続いて、コロナ禍での保育園の現状や、保育・子育て環境について思うことを聞いた。 (前編) ーコロナ禍で向き合う  0歳児保育小川:マミの保育園ではコロナの影響はどう? マミ:うちの園は休園にはしなかったけど、自粛できる子はしてもらって、その分保育料を返金してた。まあそれも最初だけで、今は普通に

          ¥150

          【#0から保育】 第10回 保育とキャバとシングルマザー(後編)

          ¥150

          【#0から保育】 第9回 保育とキャバとシングルマザー(前編)

          私とマミ(仮名)は小・中学校の9年間を同じ校舎で過ごしていたが、一度も同じクラスになったことはない。それでも学童や部活で仲良くなり、よく一緒にくだらない話をしながら帰り道を歩いた。 そんなマミと久しぶりに再会したのは成人式の時だった。保育の短大に通っているという彼女は白とピンクの振り袖を着て、お腹のあたりが少し膨らんでいた。 あれからさらに4年半。取材の依頼をすると、マミは息子のケンちゃん(仮名)を連れてやってきた。現在はシングルマザーとして子育てをしながら、保育園で

          ¥150

          【#0から保育】 第9回 保育とキャバとシングルマザー(前編)

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          【#0から保育】 第8回 『海辺の金魚』をめぐって読んだ本

          私が児童福祉に興味を持ち保育士資格を取得するきっかけとなった、長編初監督作『海辺の金魚』が6月25日に新宿シネマカリテほか全国の劇場で公開された。 〈あらすじ〉 大自然に囲まれた身寄りのない子どもたちが暮らす家で育った18歳の花(小川未祐)は、そこで暮らせる最後の夏を迎えていた。そこに8歳の少女・晴海(花田琉愛)が入所してくる。かつての自分を重ねた花は、晴海と過ごすうちに今までに無かった感情が芽生えてゆく。 映画を撮って保育士資格を取得するに至った経緯については、本連

          【#0から保育】 第8回 『海辺の金魚』をめぐって読んだ本

          【#0から保育】 第7回 日本の保育からフランスのシッターへ(フランス編)

          大学時代からの女友達・森野は日本の保育園での勤務経験を経て、現在フランスでベビーシッターをしながら語学を学んでいる。日本編では日本で経験した初めての保育現場について語ってもらったが、今回のフランス編ではフランスでの子どもたちとの関わりについて詳しく綴っていく。 (前回の記事) (フランス・アルザス地方の街並み) ―ベビーシッターは長距離マラソン  オペア留学で暮らし始めて小川:いよいよここからフランス編に突入するけど、フランスでは住み込みでベビーシッターをしながら、

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          【#0から保育】 第7回 日本の保育からフランスのシッターへ(フランス編)

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          【#0から保育】 第6回 日本の保育からフランスのシッターへ(日本編)

          大学時代からの女友達である森野は芸術や学問に関する知見が広く、口を開けばいつも刺激的で面白い世界を教えてくれる。彼女がきっかけで出会えた、かけがえのない映画や本がいくつもある。私たちの性格は似ても似つかないが、同じトピックに触れていつまでも喫茶店で盛り上がれるから不思議だ。 そんな彼女が、2020年のコロナ禍で保育園の仕事を始め、さらにその後語学留学のため海を渡り、現在フランスでベビーシッターをしながら学校に通っているという。それまで子どもと触れ合うようなイメージが全く

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          【#0から保育】 第6回 日本の保育からフランスのシッターへ(日本編)

          ¥150

          【#0から保育】 第5回 私のリアルを聞いてよ(後編)

          今回は、前回に引き続き都内で幼稚園教諭として働く友人・カナエ(仮名)の取材記事をお届けする。コロナ禍での業務の変化や幼稚園を辞めようと思ったきっかけなど、保育現場の実情についてさらに深く聞いた。 (↓前回の記事) ―「私って何屋さんなんだろう?」  サービス残業と雑用の日々小川:毎日子どもが登園する前や帰った後の時間は、どんな仕事をしてるの? カナエ:ほとんど掃除。もう掃除屋さんみたい。トイレとか水回りも全部やるし、雛人形を出して拭いたり、餅つき会の日に使う食器を洗ったり

          ¥250

          【#0から保育】 第5回 私のリアルを聞いてよ(後編)

          ¥250

          【#0から保育】 第4回 私のリアルを聞いてよ(前編)

          私の古くからの友人であるカナエ(仮名)は、都内で幼稚園教諭として働いている。昔からギャグや冗談を交えてみんなを笑わせる明るい彼女は子どもが大好きで、幼稚園の先生になったと聞いたときはぴったりだと思った。働き始めてからも、会うたびに子どもたちの可愛らしいエピソードを楽しげに語ってくれた。 しかし社会人2年目に差しかかろうとしていた去年の春、久々に会った彼女は泣きながら「幼稚園を辞めたい」と言った。彼女の口から聞いた保育現場の実情に、私は胸が痛かった。どんなに子どもが好きでも、

          【#0から保育】 第4回 私のリアルを聞いてよ(前編)

          【#0から保育】 第3回 ヤギのいるこども園(後編)

          第3回では、前回に引き続き阿久根めぐみこども園の取材記事をお届けする。 (前回の記事↓) 子どものうちに育まれるべき「自己肯定感」や、保護者や地域における園の役割、保育の働き方問題、東京で新しく開かれる園のことまで、詳しくお話を聞いた。 ―子どもも大人も、ありのままを肯定する 「自己肯定感」を育むには小川:めぐみこども園の案内の一番初めに、「自己肯定感を育む」ということが書かれています。「あなたはあなたのままでいい」と子どもに寄り添い、肯定的に受け止めることが大切だと

          ¥250

          【#0から保育】 第3回 ヤギのいるこども園(後編)

          ¥250

          【#0から保育】 第2回 ヤギのいるこども園(前編)

          ―“根っこ育て”のこども園取材や体験を通して保育のことを0から学び発信していく本連載。初めての取材では、鹿児島県阿久根市の認定こども園「阿久根めぐみこども園」の園長・輿水基(こしみずもとい)さんと、副園長・輿水知子(こしみずともこ)さんにお話をうかがった。 阿久根めぐみこども園では、人間形成の土台となる乳幼児期の「根っこ育て」にこだわりながら、目に見えない大きな存在を通して感受性を養う「キリスト教保育」、年齢の違う子どもたちが一緒に活動する「縦割り保育」などが行われてい

          【#0から保育】 第2回 ヤギのいるこども園(前編)