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小川紗良の0から保育

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取材や体験を通して、保育の世界を学びながら発信していく連載です。
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記事一覧

【#0から保育】 第10回 保育とキャバとシングルマザー(後編)

【#0から保育】 第10回 保育とキャバとシングルマザー(後編)



小・中学校の同級生で、現在シングルマザーとして子育てをしながら保育園で働いているマミ(仮名)。久しぶりに再会すると、息子のケンちゃん(4歳)を連れてやってきた。

今回は前編に続いて、コロナ禍での保育園の現状や、保育・子育て環境について思うことを聞いた。

(前編)

ーコロナ禍で向き合う
 0歳児保育小川:マミの保育園ではコロナの影響はどう?

マミ:うちの園は休園にはしなかったけど、自粛で

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【#0から保育】 第9回 保育とキャバとシングルマザー(前編)

【#0から保育】 第9回 保育とキャバとシングルマザー(前編)



私とマミ(仮名)は小・中学校の9年間を同じ校舎で過ごしていたが、一度も同じクラスになったことはない。それでも学童や部活で仲良くなり、よく一緒にくだらない話をしながら帰り道を歩いた。

そんなマミと久しぶりに再会したのは成人式の時だった。保育の短大に通っているという彼女は白とピンクの振り袖を着て、お腹のあたりが少し膨らんでいた。

あれからさらに4年半。取材の依頼をすると、マミは息子のケンちゃん

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【#0から保育】 第8回 『海辺の金魚』をめぐって読んだ本

【#0から保育】 第8回 『海辺の金魚』をめぐって読んだ本



私が児童福祉に興味を持ち保育士資格を取得するきっかけとなった、長編初監督作『海辺の金魚』が6月25日に新宿シネマカリテほか全国の劇場で公開された。

〈あらすじ〉
大自然に囲まれた身寄りのない子どもたちが暮らす家で育った18歳の花(小川未祐)は、そこで暮らせる最後の夏を迎えていた。そこに8歳の少女・晴海(花田琉愛)が入所してくる。かつての自分を重ねた花は、晴海と過ごすうちに今までに無かった感情

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【#0から保育】 第7回 日本の保育からフランスのシッターへ(フランス編)

【#0から保育】 第7回 日本の保育からフランスのシッターへ(フランス編)



大学時代からの女友達・森野は日本の保育園での勤務経験を経て、現在フランスでベビーシッターをしながら語学を学んでいる。日本編では日本で経験した初めての保育現場について語ってもらったが、今回のフランス編ではフランスでの子どもたちとの関わりについて詳しく綴っていく。

(前回の記事)

(フランス・アルザス地方の街並み)

―ベビーシッターは長距離マラソン
 オペア留学で暮らし始めて小川:いよいよこ

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【#0から保育】 第6回 日本の保育からフランスのシッターへ(日本編)

【#0から保育】 第6回 日本の保育からフランスのシッターへ(日本編)



大学時代からの女友達である森野は芸術や学問に関する知見が広く、口を開けばいつも刺激的で面白い世界を教えてくれる。彼女がきっかけで出会えた、かけがえのない映画や本がいくつもある。私たちの性格は似ても似つかないが、同じトピックに触れていつまでも喫茶店で盛り上がれるから不思議だ。

そんな彼女が、2020年のコロナ禍で保育園の仕事を始め、さらにその後語学留学のため海を渡り、現在フランスでベビーシッタ

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【#0から保育】 第5回 私のリアルを聞いてよ(後編)

【#0から保育】 第5回 私のリアルを聞いてよ(後編)

今回は、前回に引き続き都内で幼稚園教諭として働く友人・カナエ(仮名)の取材記事をお届けする。コロナ禍での業務の変化や幼稚園を辞めようと思ったきっかけなど、保育現場の実情についてさらに深く聞いた。
(↓前回の記事)

―「私って何屋さんなんだろう?」
 サービス残業と雑用の日々小川:毎日子どもが登園する前や帰った後の時間は、どんな仕事をしてるの?

カナエ:ほとんど掃除。もう掃除屋さんみたい。トイレ

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【#0から保育】 第4回 私のリアルを聞いてよ(前編)

【#0から保育】 第4回 私のリアルを聞いてよ(前編)

私の古くからの友人であるカナエ(仮名)は、都内で幼稚園教諭として働いている。昔からギャグや冗談を交えてみんなを笑わせる明るい彼女は子どもが大好きで、幼稚園の先生になったと聞いたときはぴったりだと思った。働き始めてからも、会うたびに子どもたちの可愛らしいエピソードを楽しげに語ってくれた。

しかし社会人2年目に差しかかろうとしていた去年の春、久々に会った彼女は泣きながら「幼稚園を辞めたい」と言った。

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【#0から保育】 第3回 ヤギのいるこども園(後編)

【#0から保育】 第3回 ヤギのいるこども園(後編)



第3回では、前回に引き続き阿久根めぐみこども園の取材記事をお届けする。
(前回の記事↓)

子どものうちに育まれるべき「自己肯定感」や、保護者や地域における園の役割、保育の働き方問題、東京で新しく開かれる園のことまで、詳しくお話を聞いた。

―子どもも大人も、ありのままを肯定する
「自己肯定感」を育むには小川:めぐみこども園の案内の一番初めに、「自己肯定感を育む」ということが書かれています。「

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【#0から保育】 第2回 ヤギのいるこども園(前編)

【#0から保育】 第2回 ヤギのいるこども園(前編)



―“根っこ育て”のこども園取材や体験を通して保育のことを0から学び発信していく本連載。初めての取材では、鹿児島県阿久根市の認定こども園「阿久根めぐみこども園」の園長・輿水基(こしみずもとい)さんと、副園長・輿水知子(こしみずともこ)さんにお話をうかがった。

阿久根めぐみこども園では、人間形成の土台となる乳幼児期の「根っこ育て」にこだわりながら、目に見えない大きな存在を通して感受性を養う「キリ

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【#0から保育】 第1回 私が保育士資格をとったわけ

【#0から保育】 第1回 私が保育士資格をとったわけ

ー20代の高揚と焦燥私は現在24歳。俳優、文筆家、映像作家として活動をしている。一般的には社会人3年目に入ろうという年頃で、周りの友達と同じように仕事や、人生や、過去・現在・未来について、あれこれ思い悩みながら日々を過ごしている。

20代は楽しい。ある程度の教養や経済力を手に入れて、いよいよ「自分で自分の人生を歩み始めるぞ」というワクワクや、「失敗するなら今のうち」というハラハラ、僅かに残された

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