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【目印を見つけるノート】1560. 国立博物館で境界の高さを思う

きのうは刀の講座のことを書きましたが、今日はその続きで東京国立博物館を一部回ったお話です。

ここが正面入口。

ちょっと前ふりをしておきます。
こちらでは、『特別展』と『総合文化展』(平常展・常設展)があって、それぞれチケットが必要です。私は月例講演会に行くのがメインですが、『総合文化展』のチケットを買って入場しています。講演会は無料です。
館内にはいくつも建物がありますが、分けると下記のようになるでしょうか。

【入場できる建物・展示】
・本館★◯
・東洋館◯
・平成館★◯
・表慶館☆
・法隆寺宝物館◯
・黒田記念館◇
・資料館◇
・庭園◯
【必要なチケット】
☆特別展
★特別展(一部)
◯総合文化展
◇無料(入口が別)

※正しい内容はぜひ公式サイトでご確認ください。

それぞれの建物にも由緒があって、水と緑の多いしつらえや庭園など目にも楽しい景色です。きのうは個人的に今年初のシオカラトンボを見ました。建物から建物に移動するだけでも楽しいです。ただやはり、中の収蔵品を見なければ始まりません(掲載の写真はすべて撮影可でした)。

講演会の前にひとつ見ていこうと思っていましたが、お昼を跨ぐので先に昼食をとりました。館内にレストランやカフェもあります。私は『ゆりの木』というレストランでこちらを。

中華です。

そこから向かったのは法隆寺宝物館でした。不思議な気分。


ずらりと並ぶ仏像がとてもエキゾチックだったのです。仏教が伝来して間もない頃(7世紀頃)のものですのでうなずけるのですが、何か自分が普段見聞きしているのとは別のものに思えました。例えるなら中国でもなく、インドの古い寺院とかウブドにでもいるような空気がありました。

金属製の幟には天女(天人とありましたが)のモチーフがかたどられていたのも新鮮でした。西洋でいう天使に通ずるようにも感じます。錫杖や独鈷もインド伝来なのだろうなと……仏教は中国から伝来したと教わっていますが、この頃はまだ釈迦の時代の空気を残していたのかもしれません。特に、装身具をたくさん着けていたのがどんどんシンプルになっていくさまが興味深かったです。

海の波濤を描いた海磯鏡(8世紀)

鏡もありましたが、一般的な四神(龍や鳳凰や……)だけでなく山水画のような図案もあって、中国の影響を濃く感じました。

法隆寺宝物館の入口から外を眺める。

これは見ないと分からないというか、圧倒されました。

そこから平成館で講演会。こちらの建物では17日から特別展『創健1200年記念特別展 神護寺 空海と真言密教のはじまり』があります。音声ガイドはさだまさしさん。チケットはちょっとお高いけれど、空海ゆかりの仏像やあの有名な、伝源頼朝像も出るということで垂涎の展覧会ですね。

あ、鷗外先生😆

講演会のことはきのう書きましたのでスキップして、次は本館に講演会で出された刀を見に行きました。午前はまだ余裕があったのですが、午後は観光の方を含め人でいっぱいです。特に刀はファンも多いようで、かぶりつきで見ている方もたくさん。何とか写真を撮って、本館は早々に出てきました。チラリと見た限りでは、去年来たときと展示が替わっていたように思いました。平常展とはいえ、一度見ればそれで安心というわけではないのです。そうか。

せめてもうひとつ、じっくり見たいと思い、東洋館に移動します。

パキスタン(ガンダーラ)の如来座像(2世紀)、彫りが深く端正な顔立ちです。

ここは、行ってよかったです。
いきなりの異国感満載です。アジア、メソポタミア、エジプトがどかんと同居しています。私は特にカンボジア、パキスタン、イランのものに心惹かれました。法隆寺の宝物館を見てからこちらに来ると、何て言ったらいいのでしょうね、伝播の道がおぼろげに浮かんでくるような気がするのです。シルクロード、海の道……いろいろなルートがあるでしょうが、とりも直さずボーダレスな感じです。
例えばパキスタンのこのレリーフはギリシア神話がモチーフになっています。

葡萄収穫(パキスタン、2世紀)

どのことばでギリシア神話は伝わったのでしょう。

そう考えると、エジプトのヒエログリフもシュメールの楔型文字も、私にはまったく断絶しているようには見えないのです。
また、陶器もたくさんありましたが青磁や白磁をはじめ、
「織部👀‼️」(イラン)
「黄瀬戸👀‼️」(唐三彩)
というのがパッと浮かびました。

緑釉三耳壺(イラン、1~2世紀)

ここまで何かしら伝わってきた、つながっているという実感を持って博物館を出てきました。

またうかがいますね。

The Roosters『Sitting On The Fence』

フェンスは「境界」の一種です。
現在より移動するのが困難だった時代も、人は境を越えていきました。境が設けられるのは仕方のない面もありますが、それが腰かけられるぐらい低いものならいいと願っています。腰かけられるほどの境界ならば、向こう側の人と話もできますし、越えるのもさほど難しくないでしょう。

私とあなたの境界はそんなに高いものでしょうか。

今日はそんなところです。
お読み下さって、ありがとうございます。

尾方佐羽

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