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日常雑感

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日常生活の中でふと頭に浮かんだことを雑記としてまとめています。
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2020年10月の記事一覧

アンガージュマン

翻訳の仕事をしていると、実務上よく出てくるのになかなか訳しにくい単語に出くわすことがある。英語の動詞 "engage(名詞形ではengagement)" もその一つだ。関与するとか、噛みあうといった意味なのだが、日本語にするとなかなかしっくりこないことが多い。

機械類のマニュアルなどの工学的な文書で、「歯車が噛みあう」というのはいい。しかし、人や集団などの関係性を表す場面では、約束や交わり、関与

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スマートスピーカー

わが家にはスマートスピーカーが2台ある。リビングにGoogle Home、仕事場にしている自室にAmazon Echo Dot。メーカーを変えたのに特に大きな意味はない。単に両方試してみたかっただけ。使い方は、呼び掛け方「OK、グーグル」か「アレクサ」が違うだけで、ほとんど同じ。

スマートスピーカーは呼び掛けられるのをひたすら待っている。そして呼びかけられたら即座に反応して仕事をしてくれる。ここ

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「せいぜい」頑張ってください

だいぶ前にテレビで観たオリンピック代表選手の壮行会だったか。時の首相が挨拶の中で、「せいぜい頑張ってください」というのを聞いて微妙な引っかかりを覚えた。

大急ぎで言い足すが、このことば遣いはまったく正しい。あらためて辞書を引くまでもなく、力の限り頑張ってほしいと言っているわけだから、何らいちゃもんをつける筋合いはない。しかし何だ、この違和感は。

日常生活で「せいぜい頑張れ」と言うのは、期待して

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「お伝えしたいこと」が気になる

大きなショッピングセンターや百貨店などで時々耳にするアナウンス「先ほど、○○でお買い上げになったお客様。お伝えしたいことがございます。。。」がどうも気になる。

もちろん自分には無関係の呼び出しなのだが、一体どんなことを伝えてくれるのだろうか。いろいろ想像が膨らんでしまう。

違う商品を渡してしまった(後で本人も気づくだろう)。
おつりが間違っていた(キャッシュレスの時代にそんなことがあるかな)。

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「否定できない」のうさんくささ

「否定できない」という言い回しが苦手だ。

文脈から判断すると、断言はできないが可能性があるということをにおわせ、読み手側に一定の効果を及ぼすことを狙っているのだろう。

断言しているわけではない。だから言った側は責任を負うつもりはない。どうとらえるかは、読んだ側の判断だ。といったかなり狡猾な逃げを打ちながら、ある方向に読み手を誘導しようという魂胆が透けて見える。

「Aである」という文の意味はは

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ため池の亀

自宅から歩いてすぐ近くに小さなため池がある。横に水田があるので、その農業用水を溜めるために使っているようだ。全長は10メートルほどで、水たまりと言ってもよいような小さな池だ。周りの雑木林から落ちた枝などが水面から出ている。泥水のような水中に魚が住んでいるのかは、外から見てもわからない。

先ほど、この池の横を通りかかったときにふと見ると、折れた枝か何かの上に何匹かの亀がいた。甲羅干しをしているのか

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親孝行だったポンタ

親孝行だったポンタ

ポンタが亡くなって3日経った。

来週、お世話になった動物病院に挨拶に行く予定なので、ここ最近の経緯をメモにしてまとめた。その時々の様子や治療の経過などを時系列で簡単に綴ったものだ。それを見ると、あらためてポンタがいかに「親孝行」であったかがわかった。

一番の親孝行は、苦しんだり、痛がったりする様子を一切見せなかったこと。後足から始まって徐々に全身の力が入らなくなったのはかわいそうだったが、苦痛

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ありがとう、ポンタ

わが家のフェレット「ポンタ」が終末期を迎えている。医者からはそろそろ「覚悟を」と言われている。今はすやすやと眠っているが、ポンタが虹の橋を渡るまでそう長くはないだろう。

ポンタがわが家にやってきたのは7年4カ月前。それに先立っていくつかのペットショップを回り、最終的に、あるフェレット専門ショップで出会った生後二か月のポンタを迎えることにした。そのショップも数年前に廃業してしまい、ポンタにとっての

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