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ストレート・フラッシュ

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ロックバンドを脱退して、東北の田舎町にお婿さんとしてやってきた俺。
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記事一覧

二〇一四年六月

scene 1「アイ、どうするか、今日は決めてもらうぞ」 タバコの煙と落書きに彩られたバラックの部…

市川電蔵
4年前
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二〇一四年七月

scene 8篠崎教授に指定された期限日に、俺は住職が書いてくれたレポートをきちんと提出した。…

市川電蔵
4年前
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二〇一四年九月

scene 13ものすごい激動の夏がようやく過ぎ去ろうとしている。九月も半ば、俺は特別補習にゼミ…

市川電蔵
4年前
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二〇一四年一二月

scene18JET BLACKはBBミュージックと契約、来春に九月のライブを納めたDVDをデビューシン…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年一月

Scene 23山形の石川家で婚約の発表をしたわけだが、雪江はそのまま実家に残って年明けの結納と…

市川電蔵
3年前
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二〇一五年三月

Scene 27寒河江での結納を終え、俺はまた実家へ戻る。雪江は部屋にあった俺の荷物を宅急便で実…

市川電蔵
3年前
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二〇一五年四月 壱

Scene 33その後数日を、入籍の挨拶で東京以外の五分家をはじめとする親戚を回ったり、引越し荷物の細々とした片付けなどに費やし、四月一日になった。初めて寒河江中央学院高校へ出勤する日だ。 髪型は軽い七三分けにし、メガネは昨年暮れに雪江に新調してもらった縁無しタイプ。スーツは、双方の両親に出してもらった金の一部でもう一着新調させてもらった。黒に近い紺色の、ステージ衣装だったマオカラーを思い出させる色だ。 同じく今日から出勤の雪江は、グレーのスーツを着こなし、髪を少し編んだ上で

二〇一五年四月 弐

scene 38土曜日、社会人としての生活の初の休日である。特に仕事をしているわけではないが、さ…

市川電蔵
3年前
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二〇一五年四月 参

scene 42次の日は、新入生を集めてのオリエンテーションだ。管理部と指導部が様々な連絡を行っ…

市川電蔵
3年前
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二〇一五年五月

scene 44ゴールデンウィークも終了し、寒河江もようやく暖かい気候になってきた。俺は新任教師…

市川電蔵
3年前
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二〇一五年七月

scene 47新人教師としての日々はすごい早さで過ぎてゆく。俺自身が高校生だった頃、時の流れが…

市川電蔵
3年前
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二〇一五年八月 壱

scene 50次の週、日付が土曜日に変わった頃、軍兵衛さんとマサシさんがやって来た。 「軍兵衛…

市川電蔵
3年前
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二〇一五年八月 弐

scene 53高校生たちと別れた俺達は石川宗家へ帰宅した。 「広いにもほどがあんだろこの家。自…

市川電蔵
3年前
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二〇一五年八月 参

Scene 57ミギたちが東京へ帰った日の夜に、西川が祖父母とともに石川家を訪れた。例によって正装している。西川の祖父は就職斡旋のお礼を延々と述べ、またもや分厚い祝儀袋を差し出す。今回も石川宗家総出で引っ込めさせた。 「富士男がら聞いだげっと、夏休みの間にバンドの下働きさしぇでもらういんだてが」 「あぁ、言ってましたね」 西川の祖父はようやくうちとけた話しぶりになった。 「いい機会だから、おじいさんに許可貰って、夏休みの間行ってきたらいいとは言いましたよ」 「こっつがらお頼み